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(2009.04)
月例消費レポート 2009年5月号
消費INDEXの下降局面続くも、先行指標は景気下げ止まりの兆し
主任研究員 菅野 守

1.はじめに
 日本の景気にも、かすかながら下げ止まりの兆しが見えつつある。
 2009年4月17日に公表された2009年4月の月例経済報告によると、景気の現状については「景気は、急速な悪化が続いており、厳しい状況にある」と、3ヶ月連続の据え置きとなった。個別項目のうち、輸出は「極めて大幅に減少」から「大幅に減少」に、公共投資も「総じて低調に推移しているが、08年度補正予算の効果がみられる」へと、上方修正された。個別項目で上方修正が行われたのは2008年3月以来13ヶ月ぶりのことであり、特に輸出の上方修正は、2月に輸出数量の前月比マイナス幅が縮小し、世界的な在庫調整の進展により輸出の悪化にも歯止めがかかりつつあることを好感してのものといえる。景気の先行きについては、「当面、悪化が続くとみられ」から「当面悪化が続くとみられるものの、在庫調整が進展するにつれ、悪化のテンポが緩やかになることが期待される」へと、新たに文言が加えられた形での変更となった。変更の背景として、在庫調整の進展により鉱工業生産指数の予測値が3月にはプラスへの転換が見込まれることに加え、電子部品デバイス出荷が2月は増加に転じ、景気ウォッチャー調査でも企業の出荷に動きが出始めたことなど、生産関連の統計で明るい兆しが見られつつあることを受けてのものといえる。リスク要因としては「雇用の大幅な調整懸念」や「世界景気の一層の下ぶれ懸念」、「需給ギャップ拡大によるデフレ懸念」などが指摘されている。
 2009年4月17日開催の日本銀行支店長会議の場でとりまとめられた2009年4月の地域経済報告(『さくらレポート』)によると、全体の景気判断は前回(2009年1月)の「悪化している」から「大幅に悪化している」へと下方修正された。「大幅に悪化」の表現は、2005年の報告開始以来、初めてのことである。地域別の動きを見ると、前回(2009年1月)と前々回(08年10月)は全地域で下方修正となったのに対し、今回は東海、中国で判断が据かれてはいるが、悪化速度が変わらないという意味での据え置きでしかないという。電機メーカーが集まる近畿について早川英男大阪支店長からは「足元若干明るい方向変化もみられる」「1月は先の見えない急速な落下で経営者は恐怖感を感じていたが、底が見えるようになって恐怖感は消えつつある」等々のコメントが出され、自動車販売が振るわない東海についても前田純一名古屋支店長からは「減産や在庫調整が終局を迎えつつある」とのコメントが出されるなど、一部に明るい兆しも見え始めてはいる。だが、「多くの業種は当面、需要回復は期待薄との見方が大勢」(日銀調査統計局)であることに加え、「雇用と所得の低迷で消費者心理も一段と冷え込んでいる」(宇平直史・札幌支店長)ことから、内需は更に厳しさを増すと見込まれる。景気の先行きについては、最終需要次第とした上で「目先は底打ち感が出てくるが、そこから先の持続的回復、本格回復は展望しづらい」(前田純一・名古屋支店長)と警戒姿勢は崩さず、「仮に在庫調整が終わって、輸出・生産が下げ止まる、あるいはリバウンドしたとしても、そのレベルは最終需要自体が落ちているので、1年前に比べるとかなり低い」(早川英男・大阪支店長)とし、元の水準に戻るにはまだ時間がかかるとの見方も根強い。
 生産面では持ち直しの兆しがみられる中で、大幅減の設備投資や弱含みの個人消費を中心とする需要が回復へのきっかけをつかめるかどうかが、今後の景気を占う焦点となる。各国の経済対策の効果が出始める今夏以降、生産と消費がともに上向きに転じるかどうかが、景気が回復軌道に移るか否かの分かれ目となりそうである。

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