半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

(2009.10)
月例消費レポート 2009年10月号
消費INDEXは底入れも、先行きへのダウンサイド・リスク高まる
主任研究員 菅野 守

1.はじめに
 景気の回復傾向は続いているものの、先行きに対するダウンサイド・リスクが、高まりつつある。
 2009年9月30日に経済産業省より公表された2009年8月の鉱工業生産指数は、前月比+1.8%の84.1を記録し、6ヶ月連続の上昇となった。業種別指数を見ると、16業種中、13業種で生産が改善しており、国内向け自動車が伸びた「輸送機械工業」が+2.2%上昇、自動車用鋼材の需要増で「鉄鋼業」が+8.4%上昇、政府の支援策でプラズマテレビが伸びた「情報通信機械工業」も+5.9%上昇している。他方、今夏の天候不順の影響でビール用アルミニウム缶などが不振だった「金属製品工業」は‐0.9%となっている。先行きについては、9月は+1.1%上昇、10月は+2.2%上昇と予測、このまま改善傾向が続くと見込まれている。経済産業省では、基調判断を前月同様「持ち直しの動きで推移」と据え置く一方、上昇幅が縮小傾向にあることから「指数の水準自体は依然として低く、為替の動向を含め注意深く見守る必要がある」としている。
 日銀が2009年10月1日公表した第142回企業短期経済観測調査(短観:2009年9月)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、大企業製造業で‐33となり2009年6月の前回調査より15pt上昇、2009年3月に過去最悪の‐58を記録して以来2期連続の改善となった。業種別でみると、製造業15業種のうち金属製品と造船・重機を除く13業種でDIが改善している。自動車は、輸出環境の好転やエコカー減税等の経済対策の効果もあって、前回比+30ptと‐49へと大幅に改善し、電気機械も前回比+19ptの‐33となっている。中小製造業の業況判断DIは‐52と7期ぶりの改善、中小非製造業のDIは‐39と11期ぶりの改善となった。大企業非製造業の業況判断DIは前回比+5ptの‐24と小幅な改善にとどまっているが、雇用・所得環境への不安を背景に個人消費は低迷するなど内需の弱さが現われた格好だ。 3ヶ月先の見通しとしては、大企業製造業で‐21(今回比+12pt)、大企業非製造業で‐17(今回比+7pt)、中小製造業で‐44(今回比+8)、中小非製造業で‐40(今回比‐1)となっており、中小非製造業を除き改善が見込まれている。
 他方で、設備の過剰感は解消されておらず、先行き不安から投資の抑制傾向が鮮明である。2009年度の設備投資額は前年度比25.6%減と、前回調査時点から更に下方修正されており、減少幅も過去最大となる見通しである。今年度の想定為替レートは1ドル=94円50銭であり、前回調査時点の想定レート(94円85銭)からやや円高方向に修正されており、その前提で2009年度の大企業製造業の売上高は前年度比14.3%減、経常利益は同38.9%減を見込んでいる。だが、1ドル=90円を突破した直近の円相場とは5円近い乖離がある。
 製造業に関しては底打ち感が鮮明となったが、円急騰の影響はまだ織り込まれておらず、輸出企業を中心に今後の収益圧迫要因になる可能性がある。内需低迷で非製造業の景況感はあまり上向いておらず、政策効果が切れれば「二番底」に陥る懸念もある。

 本コンテンツの全文は、メンバーシップサービスでのご提供となっております。
 以降の閲覧にはメンバーシップサービス会員(有料)ご登録が必要です。

メンバーシップサービス会員のご案内についてはこちらをご覧ください。
メンバーシップサービス会員の方は、下記をクリックして全文をご利用ください。
 

お知らせ

2024.03.25

当社合田執筆の「猛スピードのクルマはいらない」 これからの高齢化社会に必要な“まちづくり”とは何か? そのヒントは欧米になかった!」がメルクマールに掲載されました。

2024.04.22

JMR生活総合研究所 ゴールデンウイーク期間中の営業のお知らせ

新着記事

2024.04.23

24年2月の「旅行業者取扱高」は19年比で78%に

2024.04.23

24年2月の「広告売上高」は、3ヶ月連続のマイナス

2024.04.22

企業活動分析 カルビーの23年3月期は需要堅調もコスト高吸収できず減益に

2024.04.22

企業活動分析 亀田製菓の23年3月期は国内外好調で増収もコスト増で減益着地

2024.04.22

企業活動分析 大正製薬の23年3月期はOTCなど好調で増収増益

2024.04.19

企業活動分析 森永製菓の23年3月期は、「inゼリー」等好調で2年連続最高益更新

2024.04.18

24年2月の「商業動態統計調査」は36ヶ月連続のプラスに

2024.04.17

24年3月の「景気の現状判断」は14ヶ月ぶりに50ポイント割れに

2024.04.17

24年3月の「景気の先行き判断」は5ヶ月連続で50ポイント超えに

2024.04.16

24年2月の「家計収入」は17ヶ月連続のマイナス

2024.04.16

24年2月の「消費支出」は12ヶ月連続のマイナス

週間アクセスランキング

1位 2024.04.05

消費者調査データ ノンアルコール飲料(2024年4月版) 首位は「ドライゼロ」、追う「オールフリー」「のんある気分」

2位 2024.04.03

24年3月の「乗用車販売台数」は3ヶ月連続の2桁マイナス

3位 2022.05.10

消費者調査データ エナジードリンク(2022年5月版) 「レッドブル」「モンスター」認知率拡大、上位の牙城揺るがず

4位 2013.03.22

MNEXT ビックカメラによるコジマの買収はメーカーを巻き込んだ衰退業界再編の始まり

5位 2016.03.16

【マーケティングFAQ】どうすればブランド力を強化できるか

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area