日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net


(2018.05)
月例消費レポート 2018年5月号
消費は足踏み状態が続いている
主任研究員 菅野 守



 JMR消費INDEXの中長期的な近似曲線は、2018年2月時点まで上昇トレンドを保ってきた。ただし、短期的な動きをみると、INDEXは2017年6月辺りをピークに概ね低下傾向にある(図表1)。INDEXを構成する個々の変数の動きをみると、支出水準関連指標では、2018年2月以降、3項目全てが悪化となっている。販売関連指標では、2018年2月時点で、全10項目中、改善が5項目に対し悪化が5項目となり、改善の側と悪化の側とが拮抗していた。2018年3月時点では、判明している9項目中、改善が5項目に対し悪化が4項目となっており、わずかながらも改善の側が優勢となっている。支出水準関連指標では悪化の動きが続いているのに対し、販売関連指標では改善寄りの動きがみられる。2018年3月においても、両指標間で変化の方向は分かれている(図表2)。

 公表された2018年3月以降の各種経済指標から、消費を取り巻く状況を整理すると、消費支出は、勤労者世帯では2018年2月以降、名目と実質ともに伸びはマイナスが続いている。二人以上世帯では2018年3月時点で、実質ベースの伸びはマイナスに転じて、名目ベースの伸びはプラスを保ちつつも伸び率の値は更に低下している。二人以上世帯をベースに、10大費目別にみると、名目では前月2月と同様、プラスの費目数がマイナスの費目数を大きく上回っており、実質でも、プラスの費目数がマイナスの費目数を上回っている。双方を勘案すると、全体では悪化の動きが進む一方で、10大費目別では引き続き改善の側が優勢の傾向は保たれており、消費支出の動きも方向感は定まらずにいる(図表5、図表6)。ただ、消費者物価指数は2018年3月に、総合、財、サービス全ての指数の伸びは前月2月よりも低下しており、ここ数ヶ月の間続いてきた物価上昇の動きにも沈静化の気配がみられる(図表7)。販売現場での動きをみると、2018年3月現在、商業販売や外食などの日常生活財では、一部の業態を除き、伸びは引き続きプラスを保っている(図表11、図表15)。耐久財のうち、新設住宅着工戸数では2018年3月に、全体でみてもカテゴリー別でみても、伸びはマイナスとなっており、悪化の動きが続いている。家電製品出荷では2018年3月現在、白物家電で伸びはプラスが続いている一方、黒物家電で伸びはマイナスに転じている。新車販売は2018年4月に、軽乗用車で伸びはプラスに戻している。乗用車(普通+小型)では伸びはマイナスながらも伸び率の値は上昇しており、改善の方向への動きがみられる。耐久財では、カテゴリー間での好不調の格差は、依然として残ったままだ(図表12、図表13、図表14)。雇用環境では、2018年3月に、完全失業率は横ばいとなり、有効求人倍率は再び上昇に転じている。足許の雇用環境は、現状維持で推移している(図表8)。収入環境については、現金給与総額、所定内給与、超過給与額の全てで、2017年8月以降はほぼプラスを保ち続けている。収入環境は引き続き、堅調な推移を保っている(図表9)。他方で、消費マインドに関しては、2018年4月時点で、景気ウォッチャー現状判断DIと消費者態度指数の双方で、再び悪化の動きに転じており、消費マインドの動きは冴えない(図表10)。

 経済全般の状況に着目すると、輸出は2018年3月現在、伸びはプラスを保っており、伸び率の値の低下傾向にも一旦歯止めがかかった。生産は上昇の動きが続いているが、2018年1月の大幅な落ち込みからはまだ回復しきれていない(図表16、図表18)。マーケットの動向をみると、3月下旬から5月半ばにかけて、相場は円安・株高傾向で推移している(図表21)。長期金利は3月下旬以降、概ね緩やかな上昇傾向を保っている(図表22)。

 総合すると、消費は、方向感が定まらないまま、足踏み状態が続いている。ただ、消費支出全体で悪化の動きが目立ってきている。雇用・収入環境は堅調さを保っているが、消費マインドの動きが冴えない点は今後の消費にとって気がかりな材料である。他方で、マーケットが円安・株高基調で推移してきており、長期金利も落ち着きを見せていることは、今後の景気や消費にとって前向きな動きと評価できる。

 2018年5月16日に内閣府より公表された、四半期別GDP速報(一次速報値)によると、2018年1~3月期の実質GDP成長率は前期比‐0.2%となり、2015年10~12月期以来、9四半期ぶりのマイナス成長となった。需要項目別に実質成長率の内訳をみると、財貨・サービスの輸出は+0.6%のプラスだが、民間最終消費支出は‐0.0%のマイナス、民間住宅は‐2.1%のマイナス、民間企業設備は‐0.1%のマイナスとなった。外需は勢いが弱いながらも好調であった反面、内需は低調となっている。特に消費や住宅投資の低調ぶりは、弊社消費INDEXの個別項目からも既に確認されており、特段驚くべき事柄ではない。ただ今回は、消費、住宅投資、設備投資に加え、民間在庫変動も軒並みマイナスとなっており、これは2009年1~3月期以来のこととなる。2019年1月に控える「いざなみ超え」の可能性もにらみつつ、この先、景気と消費に息切れの気配が出てくるのか否か、注意を要するところだ。

【図表を含めた完全版を読む】(有料・無料会員向け)
※会員のご登録はこちらをご覧ください。

関連コンテンツ


おすすめ新着記事

消費者調査データ 炭酸飲料(2018年6月版)<br>無糖炭酸水がリピート意向上位に
消費者調査データ 炭酸飲料(2018年6月版)
無糖炭酸水がリピート意向上位に

2017年の炭酸飲料の生産量は、過去最高を記録した。今回の調査では、「コカ・コーラ」が再購入意向をのぞく6項目で首位を獲得、ブランドの強さを見せつけた。一方でユーザーロイヤリティの指標である再購入意向では、「トップバリュ炭酸水」「ウィルキンソン タンサン」をはじめとした無糖炭酸水が上位にランクイン。健康志向を背景に飲用シーンも広がってきている。

ビール系飲料(2018年6月版)<br>定着しつつあるクラフトビール人気、ファン層未確立のストロングビール
ビール系飲料(2018年6月版)
定着しつつあるクラフトビール人気、ファン層未確立のストロングビール

ビール類の出荷量減少が続いている。2017年は1992年以降で過去最低を更新するなど、厳しい市場環境の中でも各社、個性的な商品を投入してしのぎを削っている。今回の調査では、全項目で「アサヒ スーパードライ」が首位を獲得するなど圧倒的なブランド力を見せつけた。再購入意向では「よなよなエール」も上位に食い込んでいる。

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター<br>試し飲みされるストロングビール<br>味訴求でロイヤリティ獲得が今後の鍵
「食と生活」のマンスリー・ニュースレター
試し飲みされるストロングビール
味訴求でロイヤリティ獲得が今後の鍵

2017年のサントリー「頂(いただき)」発売以後、各社が相次いで新製品を投入しているストロング系ビール。今回はストロング系ビールについて、どういった人たちが、どういった理由で、どのようなシーンで飲用しているのか調査した。

データでわかる辛口性格診断
マーケティングモニターのご案内
会員登録のご案内
消費社会白書2018
「戦略200+」比較分析ツールのご案内
page top

JMR生活総合研究所マーケティングサイトに掲載の記事・写真・図表などの無断転載を禁止します。著作権はJMR生活総合研究所に属します。

Copyright (c) 1997-2018 Japan Consumer Marketing Research Institute. All rights reserved.