小売店などの価格政策に用いられるもので、集客数を上げるため、収益を度外視して極端な低価格で販売する目玉商品のことをロスリーダーといいます。特に、価格弾力性が高い商品の場合、低価格設定をすることで、その商品を目当てとする多くの来店客を誘引することが見込めます。目玉商品では原価割れなどで利益が出なくても、他の商品の関連購買を誘い、この損を取り返すことを狙うものです。来店客数を上げ、それを通じて買上点数アップを狙うこの戦略の背景には、売り場に利益率の高い商品と低い商品をミックスし、全体で原価率をコントロールする粗利ミックスという考え方があります。
日本の組織小売業では、鮮度管理が難しい生鮮食品が赤字となり、利幅の大きい衣料品がその分を補填してきたという歴史があり、食料品をロスリーダーに設定し、来店客に衣料品などを関連購買させるという施策が採られていました。
さて、赤字覚悟の激安商品で集客を高めるといっても、闇雲に対象商品を決めるわけにはいきません。原則は、値引きをしなくとも売れる強い商材や収益源となっている商材は敢えてロスリーダーにすることは避けるべきです。また、ロスリーダーはお客からは、その店のシンボル的な商品と受け止められるため、ストアイメージの形成にも影響するという点にも配慮が必要です。さらに、様々な店の目玉商品のみを狙って買い物をするチェリーピッキング(いいところ取り。バーゲンハンターと同意)も見られ、関連購買を誘発させるための施策はますます周到さが求められています。こうした動向に配慮した事例として、家電量販店などが行っているポイントカードをあげることができます。その時に関連購買が発生しなくても、ポイントを付与することにより、将来的な購買に繋げることを狙ったものと捉えられます。
一方、メーカーとしては、自社商品がロスリーダーになることが常態化してしまうと、内的参照価格が低くなってしまうことが危惧されます。消費者がある商品の店頭価格を「高い、安い」と判断する時の判断基準となる内的参照価格が低くなってしまうということは、定価での購買が阻害されることになりかねません。小売サイドがロスリーダー政策を固持するのであれば、自社の関連商品の提案で対応することが基本となります。さらに、自社商品をロスリーダーにするよりも集客できる、すなわち、価格に依らない集客策の提案がメーカーには求められます。
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