CSとはCustomer Satisfactionの略で、顧客満足のことを指します。商品やサービスの購入を通じてお客さまに満足していただくことの大切さは、すべての企業活動の基本です。
成熟した現在の日本市場において、お客さまの満足を獲得し継続的な関係をいかに作れるか、その重要性が高まっています。
しかし、顧客満足を実現するための活動をみると、単なるスローガンやキャンペーンであったり、お客さま相談窓口を設けたり、CS調査をすることで終わってしまうことも少なくありません。
CS(Customer Satisfaction)=顧客満足は、「すべてがお客さまとその期待から始まる」という考え方のもとに、お客さまに満足していただくために何をどのように提供していくのかを考え、それを達成するための仕組みを作りあげる活動によってもたらされるものでなければなりません。
また、お客さま満足を作るのは企業活動を支える従業員であるという捉え方もできます。CSを追求するにはまずES(Employee Satisfactionの略=従業員満足)を同時に追求していくことも重要です。
お客さまの満足、不満足によってどのような影響があるのでしょうか。様々な調査研究がありますが、特に次の2点について注意しておく必要があります。
- 不満を持った時に苦情を申し立てるのは一部の人に過ぎない。多くの人は、黙って次回からの購入を停止する。
- 不満を抱いた人の非好意的口コミは、満足した人の口コミよりも影響が大きい。
満足していただいたお客さまからは継続的利用が得られ(固定客)、口コミを通じて新規客も獲得できます。反対に、お客さまに不満足をもたらすと、次回の購入の機会を失い、さらに強い口コミの影響で潜在的なお客さまをも失うことになります。特によくない情報はSNSを通じ、驚くほどのスピードで拡散されていきます。
顧客満足(CS)経営のお手本とされているのは世界規模でホテル・チェーンを展開する「ザ・リッツ・カールトン」です(戦略ケース「ザ・リッツ・カールトン 顧客満足とコミュニケーションの善循環)。トヨタ自動車が国内でプレミアムブランド「レクサス(LEXUS)」を立ち上げる際、店舗スタッフの接客術アップのために「ザ・リッツ・カールトン大阪」で研修したことは有名です(戦略ケース「日本発のプレミアムブランドづくりに挑戦する『レクサス』」)。
参照コンテンツ
- MNEXT 新用語で解説するマーケティング最前線 (2017年)
- MNEXT 消費者は怒っている!消費者の怒りはビジネスチャンス-マーケティングの理念と現実(2003年)
- 戦略ケース なぜ食品スーパー「ヤオコー」は、27期連続増収を続けられるのか? (2016年)
- 戦略ケース スターバックスの復活と新たな時代への挑戦 (2015年)
- 戦略ケース 拡大する食品販売のネット化 (2012年)
- 戦略ケース ザ・リッツ・カールトン‐顧客満足とコミュニケーションの善循環(2009年)
- 戦略ケース 「アマダナ」こだわりの「美しいカデン」が世界へ羽ばたく(2008年)
関連用語
おすすめ新着記事
消費者調査データ レトルトカレー(2024年11月版) 首位「咖喱屋カレー」、3ヶ月内購入はダブルスコア
調査結果を見ると、「咖喱屋カレー」が、再購入意向を除く5項目で首位を獲得した。店頭接触、購入経験で2位に10ポイント以上の差をつけ、3ヶ月内購入では2位の「ボンカレーゴールド」のほぼ2倍の購入率となった。
「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 伸長するパン市場 背景にある簡便化志向や節約志向
どんな人がパンを食べているのか調べてみた。主食として1年内に食べた頻度をみると、食事パンは週5回以上食べた人が2割で、特に女性50・60代は3割前後と高かった。パン類全体でみると、朝食で食事パンを食べた人は女性を中心に高く、特に女性50代は6割以上であった。
成長市場を探せ コロナ禍の落ち込みから再成長する惣菜食市場
コロナ禍で打撃を受けた市場のひとつに惣菜市場がある。特に外出自粛の影響を受けた百貨店の惣菜などが落ち込んだ。しかし、翌21年には早くも持ち直し、22年、23年と2年連続で過去最高を更新した。