ニューノーマルに舵を切れ-震災後の消費スタイル

2011.04 代表 松田久一

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 「3.11大震災」、福島原発の対応の長期化、それに伴う「計画停電」の実施は、消費者や生産者に大きな影響を与えている。さらに、新興国での需要拡大やリスクマネーの石油などの商品取引市場への流入によって、石油だけでなくコーヒーなどの輸入価格が上昇し、インフレも懸念される。

 計算できないリスクが高まっている。この事態を、経営者や営業、マーケティング担当者は、どう乗り切ればよいのか。

 その答えは、イギリスの戦史研究家のリデル・ハートに従えば、最悪のシナリオを想定して、一の手、二の手、そして、三の手を準備し、さらなる不測の事態への心構えをしておくことである。そして、キザに言うならば、後は命運を「天佑」に委ねればよい。

 消費と市場に関するシナリオの鍵は、震災後の買いだめ等のパニックや原発事故に伴う放射能不安が一段落し、電力不足が継続するなかで、生活者の消費スタイルがどのような定常状態へと落ち着くのかということである。

 まず考えられるのは、長く深い消費意欲の減退である。1995年の「阪神・淡路大震災」を例にとると、家計調査で見る消費支出(二人以上の世帯)は、94年の35万3,116円(月額 以下同じ)から95年には34万9,663円へと約3,000円減少している。しかし、96年には、35万1,755円、さらに97年には35万7,636円へと上昇している。これは、政府などの公共団体が復興支援し、特需が発生し、雇用や所得に反映された結果である。しかし、特需がなくなると、その後は6年間連続して減少し、2004年に一時期回復したものの、減少傾向は続き、2010年では31万8,315円まで落ち込んでいる。