2013年11月、セブン-イレブン・ジャパンの創業40周年式典において同社の鈴木敏文会長は、「セブン&アイ・ホールディングス(以下、セブン&アイ)の第2ステージを迎えた」と宣言、そこでの持続的成長のエンジン=中核となる新たな事業としてネットとリアルの融合「オムニチャネル戦略」を打ちだした。それまで「店舗(リアル)がネットに置き換わる」というような競合関係にも捉えられていた両者をシームレスに(継ぎ目なく)連携することで、顧客づくりから囲い込みまで一貫して実現するというものである。具体的には、生活者がインターネットから注文した商品を全国のセブン&アイグループの店舗で受け取れる仕組みである。
オムニチャネルへの布石となったのは、2012年7月に実施したグループ各社の通販サイトの統合による「セブンネットショッピング」の構築である。ここでグループ全社が取り扱う300万点をインターネットで購入できるようにし、かつサイト別だったIDと共通IDへと統合する。さらに、在庫管理のために1,000億円を投じた新物流センターを2013年6月に埼玉県久喜市で稼働させるとともに、セブン&アイグループの店舗で会員が無料で利用できるWi-Fiサービスのインフラを強化してきた。
しかし、これではネット通販の巨人アマゾンには対抗できない。「地球上で最も豊富な品揃え」を標榜するアマゾンの日本での品揃えは、マーケットプレイスへの出品まで含めると2,000万点超に及ぶ。また大型物流センター「フルフィルメントセンター」は全国6県9カ所で稼働している。