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(2017.09)
加熱する睡眠ビジネス
睡眠の"質的"競争
プロジェクト・チーフ 大山翔平



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 「十分寝たつもりなのに、まだ眠い」「なんだか疲れがとれない」。忙しい現代人にとって、満足できる睡眠をとることは重要だ。しかし、睡眠時間は減少傾向にある。そんな中で、消費者の関心が、睡眠の"質"に向いてきている。

 労働時間や健康状態など従来の問題に加えて、寝る前のスマートフォン使用などで、人々の睡眠を取り巻く環境はさらに悪化している。確保できない睡眠時間を解決するために、注目されるのが睡眠の質を高めることだ。一方、睡眠に関連した商品やサービスを売り出す企業間の競争は加熱している。一大市場になりつつある「睡眠ビジネス」のマーケティング勝機を見出す。


広がる睡眠問題と「睡眠の質」重視

 厚生労働省の「国民健康・栄養調査」各年によると、2007年に6.73時間だった平均睡眠時間は、直近2015年調査では6.43時間と、0.3時間減少している。また、6時間未満の短時間睡眠が増加傾向にある(図表1)。


図表1.睡眠時間の推移


 さらに睡眠の質の観点から見ると、「睡眠で充分に休養がとれていない人の割合」は直近2014年で21.7%にのぼる。中でも、20~50代の労働力年齢において睡眠の質が低いことがうかがえる。また2009年調査との比較では、特に40~50代で睡眠の質が低下していることがわかる(図表2)。


図表2.睡眠で休養が充分とれていない人の割合


 クロス・マーケティングによる同様の調査でも、およそ7割の回答者は自身の睡眠に満足しておらず、その理由として6割の人が「睡眠の質が悪い」を挙げている。


多様な業種から参入が相次ぐ睡眠市場

 こういった現代人の悩みを解決すべく、さまざまな企業が商品・サービスの提供に乗り出している。睡眠市場に直結する寝具メーカーの業績を見てみると、西川産業の売上高は2012年の78億円から2017年には94億円にまで伸びている。また近年成長著しいエアウィーブは2009年には売上高1億円に過ぎなかったが、2014年には113億円にまで伸長している(エアウィーブについては、当社戦略ケース「睡眠を支えるマットレス競争」参照)。

 寝具メーカーは好調であるが、「睡眠」として市場を捉えると、プレーヤーは更に広がる。例えばパナソニックは「睡眠家電」というカテゴリーを打ち出している。商品ラインとしては、携帯アプリと連動させて起床時に明るさをコントロールできるシーリングライトや、睡眠時に好みの室温に調整できるエアコン、布団掃除機といった商品が並んでいる。また、スポーツ用品メーカーのアンダーアーマーでは「リカバリースリープウェア」という商品を出しており、バイオセラミックテクノロジーという特殊な技術でつくられたシャツによって、よりよい眠りを提供するとしている。

 このほかにも、アロマオイルやアイマスク、枕、マットレスなど睡眠に関連する商品は数多く登場しており、まさに睡眠市場は拡大期にあると考えられる。


 「国民健康・栄養調査」によれば、睡眠の質確保のために最も必要なこととして、「健康状態の改善」(20.4%)、「就労時間の短縮」(15.2%)など従来的な課題の他に、「睡眠環境を整える」(11.0%)、「就寝前に携帯電話、スマホ、ゲームに熱中しない」(10.4%)などが挙がっている。このことからも、消費者が就寝時の環境改善を期待していることがうかがえる。


顧客×ニーズで深化する睡眠の質的競争。マーケティング機会はどこにあるか?
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