半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

戦略思考を鍛える
第5章 防御の仕方

本コンテンツの全文は、会員サービスでのご提供となっております。
ご利用には無料または有料の会員登録が必要です。
ご登録済みの方は、こちらから全文をご利用ください。
会員のご登録はこちらをご覧ください。

 市場の競争は、特定の市場において優勢な地位をしめる(=市場支配)ことを目的とする。防御は、市場のリーダーが顧客の商品選択とその態度をかえさせないように集中して、自社の市場支配力を強めることである。


戦争において防御は攻撃にまさるが、経営においては不利になる

 戦争における防御は、敵の攻撃を待ち受けて阻止することである。孫子、ナポレオン、クラウゼヴィッツといった古今東西の戦略家が口をそろえて、防御側の優位を説いている。「防御は本質的に攻撃よりも強力である」(クラウゼヴィッツ)というように。

 クラウゼヴィッツによれば戦闘において防御側が攻撃側に比べて有利な点は、「地の利」と「待ち受けること」である。地の利を活かして攻撃側の先手を打ち、待ち受けてゆさぶることができる。側面や後方からの攻撃によって退路が断たれる恐怖は防御側よりも攻撃側の方が圧倒的に強くなる。加えて堅固な城塞に篭城した敵に対する攻撃では、攻撃側は防御側の少なくとも3倍の兵力が必要であるといわれる。

 しかし、企業間競争では防御が攻撃に比べて強力であるとはいいがたい。「地の利」を特定の市場に置きなおすと、チャレンジャーに対してマーケットリーダーは必ずしも市場における「地の利」を活かすことができない。時に営業マンの数の多さもあてにならない。顧客の選択が絶対的に固定しているということはありえないので、顧客は、いつでもチャレンジャーの繰り出す新規性のある商品サービスにスイッチすることができる。買い手が価格に敏感な場合、攻撃側の値下げによって簡単にシェアを奪われる。経営資源は限られており、全方位の完全な防御はありえない。流通構造が変化している時、チャレンジャーの方が既存取引チャネルに遠慮なく新興チャネルに機敏に対応できる。その結果、衰退する既存チャネルを守ることによってリーダーはその優位置を失うこともある。

 物量に勝るリーダーがチャレンジャーの攻撃に対する防御に失敗して敗退する。かろうじて地位を守っても経営に大きなダメージを受けることがある。戦争における兵力と勝敗との研究から経営に応用されて一世を風靡したランチェスターの法則は参考にすることはできるが、競争の現場では通用していない。


次は「市場支配力を強める-非価格競争へとリードする」
【続きを読む】(有料・無料会員向け)

※会員のご登録はこちらをご覧ください。

参照コンテンツ


シリーズ 戦略思考を鍛える

おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツ プレミアム会員サービス 戦略ケースの教科書Online


お知らせ

2024.12.19

JMR生活総合研究所 年末年始の営業のお知らせ

新着記事

2024.12.20

消費者調査データ No.418 サブスクリプションサービス 広く利用される「プライムビデオ」、音楽サブスクには固定ファンも

2024.12.19

24年10月の「商業動態統計調査」は7ヶ月連続のプラス

2024.12.19

24年10月の「広告売上高」は、6ヶ月連続のプラス

2024.12.19

24年10月の「旅行業者取扱高」は19年比で83%に

2024.12.18

提言論文 「価値スタイル」で選ばれるブランド・チャネル・メディア

2024.12.18

24年11月の「景気の先行き判断」は3ヶ月連続の50ポイント割れに

2024.12.18

24年11月の「景気の現状判断」は9ヶ月連続で50ポイント割れに

2024.12.17

24年10月の「現金給与総額」は34ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2024.12.16

企業活動分析 SGHDの24年3月期はロジスティクス事業不振で2期連続の減収減益

2024.12.16

企業活動分析 ヤマトHDの24年3月期はコスト削減追いつかず3期連続減益

2024.12.13

成長市場を探せ コロナ禍の壊滅的状況からV字回復、売上過去最高のテーマパーク(2024年)

2024.12.12

24年10月の「家計収入」は再びプラスに

2024.12.12

24年10月の「消費支出」は6ヶ月連続のマイナスに

2024.12.11

提言論文 価値スタイルによる生活の再編と収斂

2024.12.10

24年10月は「有効求人倍率」は改善、「完全失業率」は悪化

2024.12.09

企業活動分析 江崎グリコ株式会社 23年12月期は国内外での売上増などで増収増益達成

2024.12.09

企業活動分析 日清食品ホールディングス株式会社 24年3月期は価格改定浸透で増収、過去最高益達成

 

2024.12.06

消費者調査 2024年 印象に残ったもの 「大谷選手」「50-50」、選挙も五輪も超えてホームラン!

2024.12.05

24年11月の「乗用車販売台数」は3ヶ月ぶりのマイナス

週間アクセスランキング

1位 2024.05.10

消費者調査データ エナジードリンク(2024年5月版)首位は「モンエナ」、2位争いは三つ巴、再購入意向上位にPBがランクイン

2位 2024.04.05

消費者調査データ ノンアルコール飲料(2024年4月版) 首位は「ドライゼロ」、追う「オールフリー」「のんある気分」

3位 2024.12.04

提言論文 本格消費回復への転換-価値集団の影響力拡大

4位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

5位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area