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構造改革とデフレ
デフレ(物価下落)下でデフレ政策が採られている。しかも、この政策を推進する政権は人気を博している。一方で、構造改革はデフレ政策であるという評価が経済の専門家筋で定着しつつある。本格的な景気回復には、赤字財政の建て直しと不良債権の処理が前提条件であることは言うまでもない。しかし、構造改革が景気回復策でないことは明らかだ。構造改革下でデフレが進行することは誰もが合理的に予想できることである。
小泉政権の支持率は、当社のインターネット調査でも77%(5月中旬)と高く、構造改革への支持率は、政権支持率よりもさらに高く82%である。しかし、小泉政権下で「消費支出が増える」と思う人の比率は約40%に過ぎない。現代社会の政策支持率は一般的な人気指標ではなく、個人の消費行動にどう影響を与えられるかによって測定される必要がある。現代経済が個人消費支出に依存し、その消費はマインドによって左右され、消費支出拡大が生まれるかどうかがもっとも大きな経済的政策課題だからである。人気は積極的な消費行動には結びついていない。この観点から、小泉政権を、前森政権と比較するならば、「消費支出が増える」という比率は変わらず、「消費支出が減る」という比率が約8%増えている(図表参照)。人気は前政権の10倍でも、消費支出を減らすという比率は増加している。構造改革は、デフレ圧力に作用する需給ギャップを拡大する。