東京都心からのマーケティング革新

2002 代表 松田久一

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 東京市場が再び成長の軌道に乗り始めた。地下では、光ファイバーによるブロードバンド革命が進行し、地上では、共働きの職住近接のライフスタイル革命が起こっている。見えない部分と見える部分が重なって着実に生活とそれを取り巻く商品サービスが変貌を遂げようとしている。その起点が東京都心の現在である。

 時間コストに厳しい消費者は見ることを強制される広告が嫌いだ。新聞はとらずにインターネットで世界の主要紙に目を通している。デパ地下の美味しい食材のタイムセールに飛びつき、コンビニよりも生鮮三品の豊富な24時間スーパーを重宝する。土日は、車でなく自転車で都心歴史遊歩。エステやマッサージは生活に欠かせない。キャリアアップのために自己投資は止めない。地域に関心が高く、気軽に抜けられるコミュニティ志向。重い住宅ローンは嫌いだが資産運用は得意。ハイリスクに強い人々が都心に集まり、新しいライフスタイルが生まれつつある。都心では人口減少と高齢化の予測は通用しない。

 これらの人々を対象に説得する既存のマーケティング装置はまったく役に立たない。ライフステージ毎のアプローチ、単品のディスカウント、マスメディア、組織小売業等の装置では素通りだ。情報、小商圏、スポット、多元流通システム、ブロードバンド資源を使った新しいマーケティングアプローチを提案する。