ダイレクト・マーケティングを直訳すると通信販売ということになり、日本では暗いイメージがありますが、今アメリカでは隆盛をきわめています。具体的な数字でみると、アメリカにおけるダイレクト・マーケティングによる売り上げは、'76年度で600億ドルあり、小売総額の12%を占めています。また'81年度には1,200億ドルになり、これは全体の17~18%になるのではないかと言わてれいます。因みに日本では0.86%であり、大きな差があります。
このようにアメリカでダイレクト・マーケティングが隆盛している理由は客観的要因とマーケティング主体の要因に分けて考えられます。客観的要因としては、コンピューターの発達、消費者信用の普及の外に、店舗ショッピングに対する不満などを背景にして「ショッピングは楽しくない」という消費者意識の定着があげられます。主体的要因としては、マーケティングの生産性、効率アップの目的や既存の流通ルートにのりにくいといった背景があります。
ここで具体的な展開事例として、ダイレクト・マーケティングを新規事業開発として展開したシアーズ・ローバック社のケースを報告します。
シアーズは、4,000万人のクレジットホルダーがあり、これを積極的に利用して何か事業ができないかと考えたのがそもそものスタートです。そしてまず、この4,000万人の顧客分析を実施し、その結果から、次のような五つの目標を設定しました。
- 新規チャンネルの開拓
- 高い収益率を持つ独立採算性の事業とする
- 高額商品を購入してくれる消費者をターゲットとする
- 店頭商品と違う商品を提供する
- 5年後には、480億円の売り上げを達成する
また、この目標を達成するために、四つのステップを持つダイレクト・マーケティング戦略を構築しました。
- step1.設定ターゲットへのDM送付
- step2.セグメントターゲットの拡大
- step3.ミニカタログの送付
- step4.雑誌、TV等他メディアの検討
このステップからステップへの移行は、客観的指標が設定され、計画的かつ効率的に展開されているのが大きな特色です。この結果、'83年度で120億円の売り上げを達成し、投資収益はカタログ販売の4倍という大きな成果を上げています。