特定品番集中化現象

1991.01 代表 松田久一

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 90年代への戦略の実験とシフトが始まった。多ブランド、多品種少量生産、多頻度小口配送というシステム競争の次の模索だ。

 焦点は、ブランド、品揃え、店頭、そして、これらを繋ぐネットワークにある。

 ブランドや品番の絞り込み、店頭での定番商品の面の拡大、そして、これらを繋ぐ情報と商品供給の仕組みという新たな集中戦略が注目を浴びている。

 1000万ケースに達しようとするカルピスウォーター、じゃがいも畑から店頭までの鮮度に執着するカルビーのポテトチップス。

 こうした戦略の背景となっているのは、特定品番集中化現象と呼ばれるものだ。

 特定のブランド、品番に需要が集中している。

 新製品のトライアル層の比率が低下している。

 この二つの事実にこの新しい戦略の根拠はある。

 なぜ、なのか。

 多様化の戦略を終焉させたことが、直接の引き金に違いない。

 需要の側からは、次のような仮説が考えられる。

 多ブランド化、多品種化は選択の負担になること。

 メーカーの提供する多様性の豊かさに嫌気がさしたこと。

 三つめは、地球の怒りがいよいよはっきりし、世界が混沌とし、企業の常識が一般の常識とかけ離れ、個人の価値観が揺らいでいる時に、多くの人々が「伝統」「安心」「安全」を求め始めたことだ。

 この新戦略はひとつの成功を収めつつある。