90年代は、80年代よりももっと激しく大きな変化の時代だ、ということに異論を唱える人は少ない。
ただ、どう戦略を組み立てるかは百家争鳴だ。
収斂するところ、「基本」をどう捉えるかにあるように思う。基本とは、その物事の中心となる、おおもと、ということだ。
既存商品・ブランドの革新、流通の革新、マーケティングの革新を成功に導くには、この基本をどうおさえるかにある。
今年度の失敗したマーケティングの典型例を集めてみると、この基本の捉え方を見誤ったようだ。
- 基本がないのに革新しようとした失敗
- 変えるべきでないものを変えた失敗
- 変えるべき基本を変えなかった失敗
成功の鍵は、この基本をどう捉えたか、どう変えようとしたかにかかっている。
おおもとの変化しないものが確定されて、変化が見えてくる。すべてが、揺れ動いていたら、沼地に鉄筋コンクリートを建てるようなものだ。顧客に受け入れられている基本を変えてしまったらどうしようもない。
保守を過去の歴史と知的資産の上で、剣の道をバランス感覚をもって歩むものと定義してみる。
今年度の成功したマーケティングは、言わば、保守のマーケティングである。昭和30年代から知識として積み上げられた正直なマーケティングの勝利である。
皮肉なことに、保守のマーケティングが革新を生み出した。否や、もっと大事なことは、保守や革新にこだわることではなく、基本、基本の枠組みから考え直すことだ。