消費格差が拡大している。全体では、収入減少が家計費の減少に結びついている。一方で、首都圏での収入増加層は約15%、インターネット利用者では約53%である。収入格差が、情報格差を生み、顧客の商品・サービスの購入パターンである「アクセス」を大きく変えている。
新しい通帳を手に入れるのに所用時間3時間。混雑を避けて銀行に行って待札をもらって15分待ってやっと新しい通帳を貰える。銀行で15分以上待たされると15人に銀行の不満を言う。膨大な手間と時間コストがかかり、不満が残る。安全にインターネット決済ができればこんなに便利なことはない。リテール機能はネットで十分用が済む。
話は銀行のリテールサービスでは済まない。年間1,200食の食材、一日2リットルの水、暮らしていくための20万種類の商品を小売業で買い続け捨て続ける生活の習慣、ライフスタイルが変わろうとしている。すべての商品・サービスに小売業が必要ではなくなった。
その引き金になるのが、収入格差であり、情報格差である。戦後約55年の「中流社会」は終焉を迎えた。賃金格差のある社会でないと日本経済は安定性を保持できなくなった。
メーカーは、商品・サービスの提供企業は、この顧客アクセスを組み換えねばならない。9年足らずで売上を10倍にしたコンパックのファイファー社長は代理店との取引に拘ったため解任され、100万人へのパソコン無料提供キャンペーンを始めた。100万人へのダイレクトアクセスが確保できれば年間宣伝広告費より効率的でしかも安い。
ネット経済下で競争優位を得るマーケティングアクセスの鍵は、変幻自在の小売業に先回り対応することと顧客アクセスの再構築にある。格差に着目した一歩の顧客接近が21世紀の業績格差につながる。格差市場下のアクセスマーケティングを提言したい。