リスクと外部性の経済とマーケティング
外部性と日本経済の情況-長期不況への戦略的対応
1.2001年の捉え方の難しさ

2001.11 代表 松田久一

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要約

 日本の景気は、明らかに後退局面に入り、アメリカの反転も重なって、ますます険しくなっている。消費を支配する空気はもっと厳しい。この得体の知れない空気を入れ換えない限り、個々の企業のマーケティング努力も無になってしまうほどだ。空気の正体は、消費者の顕示消費などの「消費の外部性」が強まっていることにある。他方で、空気を変えるべき政府の政策は、資本の論理に囚われた構造改革という空気に支配され無策に終わっている。

 日本経済の構造問題は、構造改革や不良債権処理では解決できない消費の低迷を起点とする閉塞的な悪循環にある。この問題の解決には、90年代のアメリカの黄金時代の教訓から学び、利益追求の「資本の内部性」の論理ではなく、ポスト国際金融システムを睨んだ21世紀の多元的な資本主義システムに対応した日本独自の新しい成長システムを構築することである。その成功の条件は、資本の論理では処理できない消費の外部性を取り込むことであり、その源泉である都市の多様性を回復することである。2~3年の長期不況を展望したうえで、資本効率を上げるコスト削減と消費の外部性に対応した都市多様性への新しいマーケティングが必要となっている。日本経済の外部性を再構築する流れを作り出す政策を、政府も、企業も推進していくことが、消費低迷への解決策である。