セブン&アイ・ホールディングスは先月、総合スーパー「イドーヨーカ堂」約40店舗を閉鎖すると発表した。本業の立て直しに取りかかるイオンも、依然として厳しい状況が続く。さらに、ユニーグループ・ホールディングスも最大で50店舗を閉鎖する方針と伝えられており、総合スーパー(GMS)が苦戦している状況が浮き彫りになっている。かつて幅広い品揃えで消費者を惹きつけたGMSが、なぜ不振に陥ったのか。その理由は、三つあると考えられる。
ひとつは、消費者の変化にうまく対応できていないことだ。GMSは、日本経済の高度成長で個人消費が伸びていった1970年代、急速に成長した。全国の都市部の郊外に、GMSのロードサイド大型店が林立するようになった。GMSのメインターゲットは、子供のいる世帯の専業主婦だ。だが、女性の社会進出が進み、専業主婦の数が減少。「子供のいる夫婦の世帯」の割合は全世帯数に対して25%ほどだが、その中の専業主婦はもっと少ないと予想される。つまり、そもそものターゲットが消えていっている。
第2の理由は、豊富な品揃えという魅力が低下していることだ。食品から、家電、衣料品まで揃うGMSは、1ヶ所で効率的に買い物をすませる場所として、消費者から支持を得た。しかし、衣料品ならユニクロなど、家電ならヤマダ電機やヨドバシカメラといった量販店、食品はリージョナルスーパーなど、それぞれの分野の専門店が消費者の心をつかむようになった。専門的で幅広い品揃え、価格の安さ、食品の鮮度などの観点からみても、もはやGMSにメリットを見いだすことは難しくなっている。
第3は、地方を中心とした人口減少がGMSに影を落としていることだ。開店当初は、目新しさで集客できたものの、競合店の出店なども影響し、次第に客足が鈍っていき、生き残りが非常に難しくなっている。
GMSの減速の一方で、勢いを増しているのがコンビニエンスストアだ。午前10時から午後8時のGMSの営業時間に間に合わない消費者のため、GMSを補完する形で1970年代に登場したコンビニは、大店立地法の影響もあり、急速に拡大した。そして、近年コンビニは流通の主役になりつつあり、GMSとコンビニの立場の逆転が起こっている。消費者のライフスタイルの変化によって支持を得たコンビニを中心として、今後ネットを含めた小売の業態転換が進んでいくのではないだろうか。