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東京再集中
景気の底打ちが明確になり始めたところで大きな変革のうねりが起こり始めた。それも東京都心部からである。起爆剤はブロードバンド革命であり都市再生法の施行である。この変革の波にうまく乗れば21世紀の序盤は十分にやっていけるはずだ。
東京都心部が変わり始めた証拠は人口増加にある。日本全体は2007年頃をピークに人口減少に向かう。明治近代化以降初めての大事件である。この人口減少と高齢化が日本を衰退へと向かわせる構造要因だとほとんどの人が思い込んでいる。経済成長の基盤が人口成長率にあるからだ。しかし、東京都全体、さらに都心部では顕著な人口増加に転じている。東京都の悲観的な予測でも2010年頃まで人口増が継続する見通しだが、おそらく、それ以後も増えていくだろう。日本全体では人口減少が進むが、東京は逆に人口増加が進む。地方での人口減少がより顕著になり、東京に人口が再集中していく。東京は成長し、地方が衰退していく。これが現実の姿である。
東京再集中の理由はいろいろある。なんと言っても都心部での地価下落によるメガマンションと呼ばれるような住宅供給が増えた。さらに重要なのは、東京都心部が、病院、教育、治安等の環境リスクや失業や病気などのライフサイクルリスクに強いからである。交番よりも数の多いコンビニや深夜営業の店舗があり、新しい就業機会やステップアップ機会が多いからである。意外なことに東京都心部は高リスクを回避する場所として最適であり、郊外や地方の方が様々なリスクが高いのである。高リスクの時代に東京、さらに都心部の魅力度が飛躍的に高まっている。