新用語で解説するマーケティング最前線

2017.04.17 代表取締役社長 松田久一

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 時代の流れを反映して、マーケティングの分野では多くの新用語が生まれている。今回は、マーケティングの基本枠組みを解説しながら、近年新たに登場した18の用語を紹介したい。さらにこれらの新用語がマーケティングの枠組みにどのような影響を与えているかを考えていく。

01

マーケティングの基本枠組み

 マーケティングは近代産業の後進国、アメリカで誕生した。最初にミシガン湖の周辺で製造業が盛んになった。マーケティングの考え方も、そこで誕生した。

 JMR生活総合研究所では、マーケティングを「顧客の好意と購買を得るための企業間競争の技術(ノウハウ)と哲学である」と定義している。企業がお客様のために存在するという考え方はあくまで理念であり、お客様に対する投資を増やせば、利益率が上がるわけではない。

 次に、「販売概念」と「マーケティング概念」の違いを見てみる。図表1のように、「販売概念」は製品を出発点として販売促進を行い、売上高を増加させて利益を得ることを目的としている。一方、「マーケティング概念」は顧客ニーズを出発点として、統合的マーケティングを用いて、顧客満足を獲得することで利益を追求する。つまり、マーケティングの本質とは「顧客満足を通じて対価を得ること」なのだ。

図表1 欲望充足 ―マーケティングの本質
図表

 マーケティングにおける意思決定は、図表2に示したように「ST+4P」で行われる。STとはセグメンテーションとターゲティング、4PとはProduct(製品サービス)、Price(価格)、Place(流通チャネル)、Promotion(プロモーション)である。日本の場合、このST+4Pに、Business(営業)という活動が加わるのが特徴だ。これらのマーケティング・ミックスを支えているのが価値活動である。

図表2 ST+4Pのマーケティングの意志決定
図表