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激変する流通チャネル
バブル崩壊以後の消費の激変と製造業の再構築によって、その狭間に置かれた流通が激変している。小売業は、生産を起点にし商品別品種別に販売を営む「業種小売業」と消費者の何らかの利便性にもとづいて、消費起点に品揃えする「業態小売業」に二分される。何々屋と呼ばれ、個店展開を基本にする小売店が前者であり、百貨店、スーパーなどが後者である。
日本の流通業は、多数の小規模業種小売業から大手組織小売業の時代に移行している。はっきりと業態小売業の時代が到来している。すでに、業態小売業は小売シェアの約35%を占めている。なかでも、ダイエー、イトーヨーカ堂などの大手5社の小売シェアが増加し、そのバイイングパワーを生かして、激しい価格競争を繰り広げている。業態小売業のなかでも既存の業態が衰退し、新しい業態が成長している。百貨店は、3年以上連続して対前年売上を低下させている。スーパーと通常呼ばれるGMS(総合品揃え型小売業)も近年苦境にある。急成長してきたコンビニエンスストアも既存店が対前年売上を維持できなくなっている。
他方、都市型ドラッグストア、ホームセンターなどの近年登場した新しい業態の成長は著しい。店数、売上でも2桁成長である。伸びる業態、伸びない業種小売業と既存業態の差はどこにあるのか。その差は、明確に、消費者の生活に適合しているか、いないかにある。
これまでの商店街や住宅立地のスーパーなどは売上が伸びていない。本来一番近い店であるはずの店舗が、働く人々、パソコンを持つ人、海外にでる人にとっては、一番遠くなっているからである。
働く人にとって、会社に行くときには閉まり、帰りにも閉まり、土日にはわざわざ行くほどでもないところが「近所の商店街とスーパー」になってしまっている。女性の有職率は50%を越え、パソコンの普及率は20%に達し、海外渡航者が1千万人を越える現在では、旧来の小売業や業態が生活からもっとも「遠い」存在となっているのである。