消費者の購買行動が変化している。従来型の購買パターンである広告宣伝で気になるブランドを見つけ、実際の店舗で購入するという行動が、パソコンやスマホで検索し、何千、何万の商品の中から好きなものを選んで買うという検索型の購買パターンに移行している。
これまで消費者は一般的に、1商品カテゴリー5ブランド程度しか認知できないといわれてきた。消費者はインデックス型のブランド選択をするため、広告宣伝でブランドの認知度を上げることが企業に求められてきた。しかし、消費者の購買行動が検索型に変化したことで、五つに限られていた消費者のブランド認知能力は飛躍的に増大した。ネットでほしい商品を検索し、スペックや価格などを確認。購入商品を決める。缶コーヒーを検索すれば、千以上の商品がヒットする。購買行動が根本的に変わったといえる。
この消費者の変化に対応するため、企業も戦略の転換が求められている。企業はこれまで、誰に、どういう商品を、どれくらいの値段で、どういうプロモーションで、どこで売るかというマーケティングのレガシーに則って商品を開発、販売してきた。ところが、このレガシーに基づいた戦略だけでは、検索型の消費者と接点をつくりづらくなってきているのだ。
消費者との新しい出会いの場を求め、すでに顧客接点の再構築を始めた企業も多い。いろいろな店舗で買い物をしても特典がひとつにまとまる共通ポイント市場への「楽天」の参入、「伊勢丹」のマーチャンダイジング力と「日本郵便(JP)」の配送力の双方の強みを生かした合弁会社の設立、「アマゾン」の酒類販売スタート、BOOKOFFで買い取ったものをネット上のオークションサイトで販売できるようにする「ヤフー」と「BOOKOFF」の提携などがその例だ。
検索型の購買パターンに移った消費者をどう捉えるか。マーケティング発想から、顧客との新たな接点づくりといった発想へ視点を変えることで、今の消費者が見えてくる。