eチャネル化率

2000.07 代表 松田久一

本稿は、JMRからの提案「流通革命への対応戦略-ネット経済対応シリーズ」のコンテンツとして執筆されました。

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01

チャネルの複雑化・多様化

図表

 市場のEC化が具現化するのは、チャネルである。EC化によってチャネルがどのように変化するだろうか。

 単純に現プレーヤーだけがeリテイル化すると仮定してもチャネルは多様化する(図表1)。新たな再仲介業を含めるといかに複雑で多様なチャネルになるかが想像できる。

02

商品別ネット購入意向

図表

 七つの商品サービスについて、値段などの複数条件を提示し、ネットでの購入意向をみてみる(図表2)。この結果から確認できることは、以下のとおりである。

 ひとつは、いずれも約15%から86%の幅でネットでの購入意向があった。商品特性や価格などの条件とは関わりなく、ある程度はネット化が進んでいくと考えられる。

 ふたつは、商品サービスによってネットでの購入意向の強さが異なることである。もっとも購入意向が高いのは「イベントのチケット」、もっとも低いのは「化粧水」となっている。この差は、商品サービスを入手するための時間や手間などの購入コストの違い、店舗依存購入の魅力度の違いである。特に、ネットではまだ実現できていないリアルな商品の品揃えや店舗での対人販売魅力度などがある。加えて、現時点でのネットでの買い物の魅力度も大きな影響を与えていると考えられる。

03

eチャネル化率の推定

 eチャネル化率を、ここではeリテイルを通じて消費者に販売される比率、と定義する。ネットでの商品サービス購入意向の調査結果等からeチャネル化率を推定してみると、次のようなことが予測される。

 どの商品サービスでもeチャネル化は進行する。その進行度合いは商品サービスによって異なるが、約20~30%と予測される。同様の推定はアメリカでも行われているが、結果はやはり30%前後である。

04

コンビニ決済モデルの推測

 現在のeチャネル化で注目されているセブン-イレブン等のコンビニ決済モデルについて検証してみる。調査では、注文と入手方法の組み合わせを商品毎に何通りか提示し、利用意向をみている。

 コンビニモデルの利用意向を七つの商品サービスでみてみると、ふたつのことが確認できる。ひとつは、商品サービスによって利用意向が大きく異なり、「自動車保険」、「自動車」等の利用意向はまったくなく、書籍などが高くなっている。もうひとつは、eリテイル(「ネットで発注し自宅配送」)の利用意向を上回る商品サービスはひとつもない。

 現状の評価では、書籍などは新規品揃えとして売上拡大に繋がる可能性をもっているが、その他の商材については、コンビニへの来店を前提にする限り、利用率の拡大には結びつかないように思われる。