激動期のマーケティング革新

1998.01 代表 松田久一

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はじめに

 マーケティングとは、簡単に言えばお客様の長期的な満足を商品とサービス(売り方)を通じて達成することだと定義できる。企業がどのようにモノをつくり、売っていくかを中心にして企業の経営実績を上げるための近代的手法として、昭和30年代に初めて日本に導入された。今、私どもと同様の会社は、外部にいてコンサルティングやリサーチを通じて企業の営業やマーケティングをお手伝いしている。

 ここ十数年のうちにマーケティングは変わっている。ますます広範になっており、東京では最近、女子高校生があの会社はマーケティングが下手だとかうまいという話をしているし、アメリカでも一般の消費者が使うほど"マーケティング"は日常語になっている。

 経済学は日本をつくったり社会をつくったりしない。500兆円のGDPの中、ほんの50兆円ほどの政府予算を扱うだけであり、残りの大半のGDPを占めているのはモノを生産している民間企業、生産材メーカーである。実際の日本社会をつくっているのは経済学ではなくマーケティングなのだが、それが頼りない。スミス、マルクス、グルムマンなど経済学のようにたいそうな理論家がいるわけではなく、学者四流、実務一流という世界である。しかし、マーケティングが社会をつくっているのは確かであり、企業の現場の中でお客様に提案していくマーケッターが、何を考え、何を目指しているかをお話ししたい。

[初出 1997.04 「生活研究所報 特別編集号」 JMR生活総合研究所]