消費税10%の再延期が確実になった。3月頃から様々な消費指標が悪化し始めた。当然、再延期されるだろうと多くの人が予想したが、二転三転した。前回の2014年11月は、景気条項に基づいて延期の判断が示されたが、今回は景気条項が削除されていた。従って、本来なら延期はできないはずだった。人々の大勢が難しいだろうと予想するなかで、およそ3ヶ月の「不確実」な状況が続いた。
政策判断は、法案どおり増税する、法案を拡大解釈あるいは衆議院を解散して、新たな政権のもとで延期する、決めない、の三つがあった。結果は、法案を拡大解釈して、再延期となった。
この三つのなかで、もっとも消費の拡大にとってよくないのは、決めない状況が続くことである。この期間が四半期も続いた。これによって、増税前に消費をしようとしていた、いわゆる駆け込み需要を押さえ込むことになった。その額は、前回ほどではないが、住宅や車などの高額品に影響を与えたことは言うまでもない。「意志決定遅れ」による消費低迷の感もあった。
しかし、当初可決した増税法案を景気条項に基づいて一旦棚上げにし、景気条項のない延期法案を改めて可決し直した後で、さらに、条件なしの拡大解釈によって再度延期するというのは、政府だけでなく立法の「暴走」と言えなくもない。しかし、状況依存的な判断、つまり、現実論としては延期すべきである。
さて、今回の再延期がどんな効果をもたらすのか。おそらく、四つの層で異なる効果が現れる。