II. 現代の戦略とマーケティング

3.競争戦略のヒント

寡占対決に勝利する戦略
-事例で身につける戦略作法

2008.02 代表 松田久一

本コンテンツは、洋泉社MOOKより好評発売中の「決戦!業界関ヶ原 2強対決から勝利の戦略を学びとれ」の書きおろし巻頭言を抜粋したものです。

全文は書店にてご覧ください。

決戦!業界関ヶ原
2強対決から勝利の戦略を学びとれ

松田久一 JMR生活総合研究所
書影

発行日 2008年1月
版形  B5版 本文125頁
定価  本体1,000円+税

【「決戦!業界関ヶ原  2強対決から勝利の戦略を学びとれ」巻頭言】
 ライバル対決の時代
 寡占対決下の高収益要因
 シェアと営業利益率とのU関係
 U関係の背景
 高収益をあげる教訓
 優れた戦略に学ぶ原則
 中途半端は通用しない-原則1
 より大きなパワーがより高い収益をもたらす-原則2
 ソフトパワーとハードパワーを駆使して顧客とライバルの
                   行動を変える-原則3
 パワーの源泉に内部資源を集中する-原則4
 循環的な強みのシステムを作りだす-原則5
 戦略原則の活用



01

ライバル対決の時代

 ライバルの顔が見える時代がきた。多くの業界で、激しい価格競争、合併・吸収・提携の結果、少数の企業による市場支配、すなわち寡占化が進んでいる。まるで「天下分け目」の関ヶ原の様相だ。例えば、1970年代の高度成長期、家電流通業界は数万の地域家電店によって担われていた。ところが、今や、わずか10社によって市場全体の64%が占められている。家電流通に限らず小売市場でも、イオングループなど上位3社の売上は約13兆円にまで伸び約133兆円の小売市場のほぼ10%に達した。このような寡占化の傾向は、「金融ビッグバン」のあった1995年を起点に顕著に見られるようになった。

 顔の見える競争は協調しやすく、企業に超過利潤をもたらすと考えられていた。しかし、現実はそうではない。利益回復が顕著と報道されている情報家電業界でも5%程度の営業利益率に過ぎない。世界のエレクトロニクス業界の上位10社の平均営業利益率11%のせいぜい半分である。

 ライバルの顔が見え、競り合いながら、低収益に苦しんでいる。成長期でも、成熟期でも、衰退期でもない新しい状況を「寡占対決」と呼ぶことにする。寡占化と低収益化が同時に進んでいるのは、市場がグローバル化し競争圧力が強く、他方で、デジタル技術の波及によって製品差別化が困難になり、同質的な価格競争に陥り易くなったことがあると考えられる。また、産業のソフト化、情報化が進んだことによって、「規模の経済性」や「ネットワーク外部性」などの「量」が競争の鍵を握る比重が高まっていること、そして、消費者ニーズの多様化が寡占化を促していることも背景にある。

巻頭言の続きは、洋泉社MOOKより好評発売中の「決戦!業界関ヶ原 2強対決から勝利の戦略を学びとれ」にてご覧ください。

[2008.02]

やられたらやり返す戦略を考えたいひとのために -「決戦!業界関ヶ原」の自薦文