4.補論-ポーター戦略論を土台に戦略思考を自分のものに
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ポーター理論をどう学ぶか
ポーター理論のエッセンス、それからポーター戦略を実務に具体的に活かしていったらどうなるのかを話しました。ポーターの本は分厚いしけっこう難しいです。一番のポイントとして読むときは、「競争優位の戦略」の第1章と第2章は必ず読んでおくべきです。それは理論のエッセンスになっていますので、この部分だけはビシッと線を引いて読んだほうがいいと思います。
実務を進めていく上で非常に重要なのが、概念を操作していく、概念をブレイクダウンしていくことです。先ほど言ったエッセンス、例えば企業の収益性という概念は業界魅力度と競争地位によって決まる、というエッセンスに集約できるわけですが、それでは具体的にどんな情報を集めてどういうふうにそれを考えていったらいいのか分からないわけです。そのためにはやはり業界の魅力度とは何か、競争地位とは何か、というようにブレイクダウンしていく必要があります。そういう意味において、戦略思考をポーターベースで考えていく上では、まずその概念をいつでもブレイクダウンできるように普段からよく概念を定義しておく、あるいは自分の頭のなかで整理していつでも引き出せるようにしておくことが重要です。
次に分析フレームと考えていくステップ、そこを意識しながらリズムとして身につけることが必要です。戦略というのは単に計画やプレゼンテーションに落とすことだけではないですが、企業の中で活かしていこうとすると、計画あるいはプレゼンテーションに落としていかないといけません。トップあるいは社員には理解されないという意味で、計画というかたちでないと戦略は実行に移されません。そこを意識しながらポーターを自分の頭の中で理解してほしいと思います。
[2004.11 MNEXT]