1.競争優位の源泉はどこにあるのか
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高収益企業の三つの戦略
今の、21世紀の戦略というものを考えてみます。現代の戦略発想のキーになるポイントは、「競争力は内にあるのか、外にあるのか」、言い換えると「高い収益率の源泉は一体どこにあるのか」ということです。それがたぶん一番大きな、現代の戦略を考えていく上での大きなポイントだろうと思います。
今、いろいろな高収益の会社について考えてみると、その戦略は三つあります。まず、ナンバーワン。次に、オンリーワン。最後の三つめはリソースワンです。ひとつめのナンバーワンというのは、同質的な市場におけるコスト優位を武器にした独占的・寡占的状況を作ることによって、市場をコントロールします。半導体市場におけるサムスンの戦略が代表例です。市場を独占・寡占化することによって、提供する財の数量と価格をコントロールします。そういう形の高収益・高利潤のあげ方というものがあります。
ふたつは、オンリーワンです。これは同質市場ではなく、異質市場における差別化優位、いわば独占的な競争をやるという、経済学の産業組織論でいうところの、独占的競争をしている会社です。日本の情報家電業界ではナンバーツーの利潤率をあげているシャープの液晶テレビが代表的な例です。液晶テレビに関しては、競合他社の追撃もあるけれども、今のところ大型液晶テレビで、かつデジタルハイビジョンということで考えていくと、シャープしかありません。そんなふうにしてオンリーワンになっていきます。
もうひとつは、あまり馴染みのないものですが、リソースで勝負していく、リソースワンです。リソースで勝負しているというのは、つまり原料や真似できない技術、そういうものをベースにして供給を上回る需要を作り出していく。その結果として、レントが得られます。この最後の三つめがいわばリカード経済学で分析されてきたレント、超過利潤ということになります。
こうして今、高収益をあげている企業を分析していくと、「ナンバーワン・オンリーワン・リソースワン」というふうになってきます。そうしたときに、超過利潤を生み出している、あるいは競争力があるという言い方をすれば、その「競争力がある」というのは一体何が源泉なのかということが重要になるのではないか、ということです。
[2005.01 MNEXT]