1.戦略プランニングの基礎-ポーター戦略論
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実務的戦略理論としてのポーター戦略論
今回は実際に実務の中で戦略思考を活用して、計画レベルあるいはプレゼンテーションのレベルにどうやって落とし込んでいくか、という話をしてみたいと思います。
戦略が企業の中で活かされるというのは、予算などの計画レベルに具現化されることであって、年度計画とか年間計画という形になって初めてその戦略というものはその実行性を持ちます。計画のレベルに落ちてくるのがまず実行レベルの第一段階で、それが具体的に実現されて初めて戦略が実行されます。以前にも話したように、戦略というのは計画ということだけではなくて、プラン(計画)、ポジション、プロイ、パースペクティブ、パターンという五つぐらいの戦略の捉え方があります。その中でやはりプランという意味での戦略を考えていくということが実行性から考えると重要になります。実務的な戦略を考えていくときに、そのプランニングプロセスに最も近いのがポーターの戦略になります。そういう意味で、ポーター戦略論を活用して具体的にどのように計画としてプレゼンテーションとしての戦略に落とし込んでいくか、という話をしたいのです。
まず、一般的な概論としてポーターについて話します。ポーター戦略論は1980年代に形成されて、それが戦略コンサルタント、経営コンサルタントにとってのひとつの標準的な理論になっていったわけですが、そのもう一方でポーター理論への批判というのもあります。特にミンツバーグのポーター批判は有名ですし、最近のゲーム理論的な考え方からもある意味批判されていますし、あるいは最近ひとつの主流的、有力な流れになっているリソース・ベースド・ビュー(RBV)、主にその三つのスクールから批判されているということもあり、日本の一部の人、経営者ではなく学者の人からは、ポーターはもう終わったというような言い方をされていますが、実際問題として実務で使える標準的なベースの理論としてポーターは有効ですし、これからもひとつの有力な考え方として残っていくことは間違いないと思いますので、ポーター戦略論を実務でどのように活かしていくか、ということについて話をしたいと思います。
[2004.11 MNEXT]