2007年ヒット商品を斬る ―ネットワーク理論から見えたヒット商品の成功のカギ |
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消費研究チーム | |
【要旨】 2007年も、色々な商品・サービスがヒット商品としてメディアをにぎわせた。本稿では、ヒット商品として主要5メディアで取り上げられたものを集め、これらのヒット商品について認知したか・話題にしたか・購入(利用)をしたか・今後購入(利用)意向があるかの四つについて調べた。加えてヒット商品での話題と購入との関係をネットワークの観点から分析し、ヒット商品の成功のカギを探った。 まず、認知・話題・購入・購入意向について調査をした。認知をしているものでは、『ビリーズブートキャンプ』、黒烏龍茶、『千の風になって』、ニンテンドーDS、ニンテンドーWii。話題にしたものでは、『ビリーズブートキャンプ』、『千の風になって』、ニンテンドーDS、メガマック、ニンテンドーWii。購入(利用)したものでは、ザ・プレミアム・モルツ、黒烏龍茶、脳内メーカー、ニンテンドーDS、メガマック。今後の購入(利用)意向では、メガマック、ニンテンドーDS、ワンセグケータイ、クリスピー・クリーム・ドーナツなどが上位に挙がってきた。この結果、ヒット商品には、認知や話題性はあるが購入にいたらないもの、そして話題性は低いが購入にいたるもの、話題性もあり実際に購入や購入意向が高いものなどがあることがわかった。 商品が、ヒットとなる要因のひとつとして、消費者間での情報交換が挙げられる。そこで次に人々がどのように情報を交換しており、結果としてどのような情報のネットワークを形成しているのか、そしてそのネットワークの購入への影響について調べた。 その結果、「脳内メーカー」、「ワンセグケータイ」などは、高密度ネットワークやスモールワールドネットワークを形成し、同世代の中で話題になっており、実際に購買に向かうことが多く、さらに今後の購買予定も高かった。一方、「ビリーズブートキャンプ」や「千の風になって」はランダムネットワークを形成し幅広い世代で認知され、通常繋がってないひと同士でも会話にのぼっていたが、実際の購入にいたるケースは低かった。このように、商品ごとに形成するネットワークのタイプによって購入や購入意向への影響が異なることがわかった。 以上のことから、ヒット商品において、単純に話題性が高いだけではなく、実際の購入や長期的な購入につなげていくためには、どのような人たちの間でどのようなネットワークが形成されるかを把握することがカギになるといえよう。
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1.はじめに | ||||
2007年も、色々な商品・サービスがヒット商品としてメディアをにぎわせ、世間の話題をさらっていった。その中身を見ると、発売と同時に爆発的な売れ行きを示したものや、以前から発売されていたが今年に入り人気に火がついたもの、あるいは発売後数年を経てもなお根強い人気を保ち息の長い売れ行きを誇るものなど、種々様々である。 我々は、主要5メディア(日本経済新聞・日経MJ『2007年日経MJヒット商品番付』、日経トレンディー『2007ヒット商品ベスト30』、DIME『2007DIMEトレンド大賞』、電通『話題・注目商品2007』、SMBCコンサルティング『2007年ヒット商品番付』)を中心に、ヒット商品を取り扱った記事などをもとに、2007年に世間で話題となった商品・サービスとして53品目を選定した(図表1)。 53品目のそれぞれについて、主要5メディアにおいてランキング入りするなどの掲載・紹介の有無等の内訳を整理すると、5メディア全てで取り上げられていたのは、メガマック、デザインエコバック、ニンテンドーWii、『ビリーズブートキャンプ』、『千の風になって』、ホワイトプランの6商品である。4メディアで取り上げられていたのは、トランシーノ、アラウーノ、ニコニコ動画などを含む9商品、3メディアで取り上げられていたのは、TSUBAKI ゴールデンリペア、iPod touch、『おしりかじり虫』などを含む11商品であった。
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