「NEXT VISION 2008」より | ||
2008年の消費をどう読むか | ||
消費研究チーム・大場美子 | ||
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2008年の消費をどう読むか、お手元にあります「消費社会白書2008 -多極化する消費 すすむ趣味の階層化」の分析を通じて発見できたことをご案内します(図表1)。 お話したいことは三つあります。 ひとつめは、価値観の潮目が変わってきているということです。「上昇志向」などの「自己実現志向」に代わって、より「公益志向」の価値意識が大勢を占めるようになってきました。このような変化がなぜ起こったのか、その要因についてもお話します。 そして、このように価値意識が揺らぐ中、消費意識もジレンマの状況にあります。これがふたつめです。消費者のマインドは、堅実と衝動の狭間で揺れ動いています。 最後に、このようなジレンマを解く鍵として、趣味をベースにした階層的ライフスタイルがあるということをご紹介します。 | ||||
底堅い消費 | ||||
ここ2~3年の継続的な傾向として、対前年成長が続いていることが確認できます。 今後の見通しについては、賃金の伸び悩みや値上げによって消費が停滞していくという見方もされていますが、弊社では消費にもっとも強い影響を与える雇用が安定して成長し、企業業績も堅調であることから、今後も消費は底堅い成長を維持するとみています。 | ||||
価値意識の潮目 (六つの変化要因) | ||||
(1) 強まる公益志向このように消費の底堅い傾向が続く中、価値観の潮目が変わってきています。消費者がふだんの生活をする上での行動規範、ベースとなっている意識が価値観です。その消費者の価値観を捉えるため、61の質問項目をもとに因子分析を行いました(図表3)。 消費者の価値観の方向性として、もっとも大きな部分を占めているのが「公益志向」です。
など、地球や社会、家族との共存共栄を求め、競争よりも協調を重視する価値観が消費者の意識の主流を占めています。
「公益志向」には多少の山谷はあるものの大きな変化はありません。一方、自分の能力や可能性を追求していく「自己実現志向」が低下していることがわかります。 「自己実現志向」から「公益志向」へと、価値観の趨勢が変わってきた、価値観の潮目が変わってきた、と捉えることができます。 (2007.12)
本稿は当社代表・松田久一、並びに、消費研究チームのメンバーからの貴重な助言のもとに執筆されました。ここに謝意を表します。あり得べき誤りは筆者の責に帰します。 |
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