景気動向指数は景気が上向きか下向きかを総合的に捉えるもので、各指数を構成する経済指標の中で3ヶ月前より改善した指標の占める割合で示され、景気判断の根拠として重視されている。
用いられている指標は全部で30あるが、鉱工業生産をはじめとして生産、雇用など供給側の指標が多く、GDPの6割を占める消費に関する指標は、消費者態度指数、家計消費支出、など限られたものである。
こうした供給サイドに拠った景気の指標に対して、当社では、消費に焦点をあてて、いわば消費者の「さいふのひも」の絞り具合を測る指標を構成してその変化を追っている。
はじめに消費に影響を与える需要側の要因を分析し、その結果から12の指標を特定した。
図表1.指標一覧 |
勤労者世帯における月次の消費の変動は残業代や賞与などの変動する給与所得の影響が大きいと考えられる。 消費者は残業代が減少するとさいふのひもを絞って消費を抑制し、残業代が増えるとさいふのひもをゆるめる。 支出は、生活の衣食住遊に配分される。消費者が実際に消費した結果を捉えられるように流通側の販売データを利用した。 時系列データの入手のしやすさの問題もあり、衣食住についてはチェーンストア協会の衣食と家電、家具インテリアの売上高を採用した。 実際にはチェーンストア協会加盟の企業約100社の売上によるので家電の消費全体をカバーしているわけではない。 遊については、旅行業者取扱高などを用いている。結果として、この指標は、主に組織小売業で買い物をする一般的な勤労者世帯の消費を捉えていることになる。
さらに、総合的な消費の上昇下降局面を捉えるために、試みに12の指標の対前年同期比がプラスになった個数の比率を算出して消費指数とした。 目的は消費の変化を敏感に捉える指標から生活実感に基づく消費の指標を構成することである。経営者の主観的判断によるBSI指標と対照をなすものともいえる。 本論は、この消費の指標から90年以降の消費と費目の変化の仕方を整理し、費目の差がなぜ生まれたのかについて考察する。
本稿には当社代表・松田久一、並びに消費研究チームのメンバーによる議論・検討の成果が活かされております。あり得べき誤りは筆者の責に帰します。
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