今、多くの駅が消費の場となっている。駅は、さまざまな人々が行き交う都市の集客スポットであり、消費の欲望を増幅するパワーを持っている。なぜなら、欲望とは本源的に他者との関わりのなかで生まれることに起因するからだ。今回は、こうした他者を意識した消費行動のメカニズムに焦点を当て、消費における駅の潜在的なパワーを探る。
何らかの商品サービスを購入する時、食料品や日用品などの習慣的な買い物を除いて、「価格が安いから」「機能がいいから」といったコストパフォーマンスによる合理的な理由だけでは、なぜそれを選んだのかを説明できないことが、実は多い。
特にファッション、時計・宝飾品やインテリア、クルマなど他人に見られるものを購入する時は、「分不相応だと思われないか」、「年齢に合わないと思われないか」、「仲間うちで浮いたりしないか」など他者の評価を気にせずにはいられない。また、ブランド物や話題の商品は、もっと直接的に「○○さんの持っていたものが欲しい」、「○○さんの持っているものより"良いもの"が欲しい」と思ったりする。
このように、個人の意思決定が他者に影響されることを、経済学では「外部効果」と呼ぶ。外部効果には、他者に羨ましがられたい、見せびらかしたい(顕示欲望)という「ヴェブレン効果」、話題に乗り遅れたくない、他人が持っているから自分も欲しい(同質化欲望)という「バンドワゴン効果」、他人とは違うものが欲しい、持っている人が少ないものが欲しい(差異化欲望)という「スノッブ効果」の三つがあるとされている。
シリーズ「移動」のマーケティング
- なぜ駅はスゴイのか?-変わる駅の役割と新たなビジネスチャンス
- 変わる家族と駅の役割
- 世代交代で変わる鉄道と駅の役割
- 消費のホットスポットとしての駅
- 移動の起点・終点としての駅
- ビッグデータの宝庫「駅」でのビッグデータ利用を阻むもの
- ネットワークと駅
- なぜこうなった?これからどうなる?駅ナカ
- 観光日本のゲートウェイ「駅」
おすすめ新着記事

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター チョコレートの今後購入意向は80%以上! 意外にも男性20~30代と管理職が市場を牽引
チョコレート商品の値上げが続くなか、成分や機能を訴求したチョコレートが伸びている。今回はどのような人がどんな理由でチョコレートを食べているのか調査した。

成長市場を探せ キャッシュレス決済のなかでも圧倒的なボリュームを誇るクレジットカード決済は、2024年、3年連続の2桁成長で過去最高を連続更新するとともに、初の100兆円台にのせた。ネットショッピングの浸透も拡大に拍車をかけている。 キャッシュレス市場の雄、クレジットカードは3年連続過去最高更新(2025年)
キャッシュレス決済のなかでも圧倒的なボリュームを誇るクレジットカード決済は、2024年、3年連続の2桁成長で過去最高を連続更新するとともに、初の100兆円台にのせた。ネットショッピングの浸透も拡大に拍車をかけている。

消費者調査データ トップは「ドライゼロ」、2位を争う「オールフリー」「のんある気分」
アップトレンドが続くノンアルコール飲料。調査結果は「アサヒ ドライゼロ」が首位を獲得、上位にはビールテイストが目立つなかで、「のんある気分」が健闘している。再購入意向では10位内にワインテイストやカクテルテイストの商品も食い込み、ジャンルとしての広がりを感じさせる。



