半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net


(2015.08)
移動の起点・終点としての駅
格差拡大時代に新たなチャンスをもたらす鉄道サービスの「再クラス化」
主任研究員 菅野 守

本コンテンツの全文は、有料会員サービスでの公開となっております。
ご利用には有料の会員登録が必要です。
ご登録済みの方は、こちらから全文をご利用ください。
会員のご登録はこちらをご覧ください。

 鉄道の第一義的役割は乗客の「輸送」にあり、駅は、鉄道「輸送」の起点であり終点でもある。本稿では鉄道「輸送」に軸足を置き、「乗客」というヒトの観点から、鉄道サービス、特に座席の「クラス化」に焦点を当てる。


1.鉄道の誕生とともに存在してきた鉄道サービスの「クラス化」

 2015年2月4日、(2020年度の運行開始を目標に)JR中央快速線(東京~大月間)と青梅線(立川~青梅間)へのグリーン車導入が明らかにされた。1969年5月の等級制度廃止を含めた運賃制度改訂に伴い、在来線普通列車の中で東海道線と横須賀線だけに存在していた1等車が、グリーン車へと衣替えされた。新幹線や特急列車などでは存在が当たり前のグリーン車も、在来線普通列車では長年、東海道線と横須賀線などごく一部の路線にしかない例外的な存在であった。首都圏の主要な在来線でグリーン車の導入が進んだのは、今世紀に入ってからである

 在来線普通列車でのグリーン車導入といった、鉄道サービスでの座席の「クラス化」は、平等化が一段と進んだ戦後日本の視点でみれば、特別かつ例外的な事象に映るかもしれない。ただ、鉄道サービスの歴史をふり返れば、国鉄が誕生した1906年よりも遥か以前、1872年の新橋駅~横浜駅間での創業当時から、上等、中等、下等の3等級が設けられ、座席の「クラス化」がなされていた。戦前の日本社会では、華族制度や勅選の貴族院などが存在し、当初は納税額の多寡で選挙権が制限されるなど、身分の違いは当たり前に存在していた。収入や資産に留まらず、職業や学歴、地域間の格差なども戦後以上に大きいものであった。身分の違いや格差などを前提に、鉄道サービスでの座席の「クラス化」の存在も、当たり前のこととみなされていた。画家・赤松麟作の代表作『夜汽車』に描かれている夜行列車の三等車内の風景や、横須賀線上り列車二等車内での自身の体験をモチーフとした芥川龍之介の小説『蜜柑』の中で、二等車に誤って乗ってきた少女に向けた芥川自身の感情の描写などからは、当時の座席の「クラス化」の実情やそれを支えていた社会の意識の一端が垣間見える。


本コンテンツの全文は、有料会員サービスでの公開となっております。
ご利用には有料の会員登録が必要です。
ご登録済みの方は、こちらから全文をご利用ください。
会員のご登録はこちらをご覧ください。


シリーズ「移動」のマーケティング


おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツ プレミアム会員サービス 戦略ケースの教科書Online


お知らせ

2024.12.19

JMR生活総合研究所 年末年始の営業のお知らせ

新着記事

2024.12.20

消費者調査データ No.418 サブスクリプションサービス 広く利用される「プライムビデオ」、音楽サブスクには固定ファンも

2024.12.19

24年10月の「商業動態統計調査」は7ヶ月連続のプラス

2024.12.19

24年10月の「広告売上高」は、6ヶ月連続のプラス

2024.12.19

24年10月の「旅行業者取扱高」は19年比で83%に

2024.12.18

提言論文 「価値スタイル」で選ばれるブランド・チャネル・メディア

2024.12.18

24年11月の「景気の先行き判断」は3ヶ月連続の50ポイント割れに

2024.12.18

24年11月の「景気の現状判断」は9ヶ月連続で50ポイント割れに

2024.12.17

24年10月の「現金給与総額」は34ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2024.12.16

企業活動分析 SGHDの24年3月期はロジスティクス事業不振で2期連続の減収減益

2024.12.16

企業活動分析 ヤマトHDの24年3月期はコスト削減追いつかず3期連続減益

2024.12.13

成長市場を探せ コロナ禍の壊滅的状況からV字回復、売上過去最高のテーマパーク(2024年)

2024.12.12

24年10月の「家計収入」は再びプラスに

2024.12.12

24年10月の「消費支出」は6ヶ月連続のマイナスに

2024.12.11

提言論文 価値スタイルによる生活の再編と収斂

2024.12.10

24年10月は「有効求人倍率」は改善、「完全失業率」は悪化

2024.12.09

企業活動分析 江崎グリコ株式会社 23年12月期は国内外での売上増などで増収増益達成

2024.12.09

企業活動分析 日清食品ホールディングス株式会社 24年3月期は価格改定浸透で増収、過去最高益達成

 

2024.12.06

消費者調査 2024年 印象に残ったもの 「大谷選手」「50-50」、選挙も五輪も超えてホームラン!

2024.12.05

24年11月の「乗用車販売台数」は3ヶ月ぶりのマイナス

週間アクセスランキング

1位 2024.05.10

消費者調査データ エナジードリンク(2024年5月版)首位は「モンエナ」、2位争いは三つ巴、再購入意向上位にPBがランクイン

2位 2024.04.05

消費者調査データ ノンアルコール飲料(2024年4月版) 首位は「ドライゼロ」、追う「オールフリー」「のんある気分」

3位 2024.12.04

提言論文 本格消費回復への転換-価値集団の影響力拡大

4位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

5位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area