現代人の食生活を読み解くポイントは、「食の個食化」「調理の罪悪感」「罪悪感から解放するための価値訴求」の三つです。さらに、人々は理想の食生活と現実との間にギャップを抱えています。家族と一緒に食べたいけど、時間が合わない。もうちょっとちゃんと調理したいけど、できない。そういったギャップがあります。
今回の調査では、平日の夕食について詳しく聞きました。食べた場所は、自宅が91.4%と圧倒的に高かったです。単身世帯でも自宅で食べた人が多く、88.6%でした。次に、誰と一緒に食べたかをみると、ひとりではなく誰かと食べたと答えた人が全体で65.4%でした。一方、自分だけで食べた人は33.7%でした。つまり、3分の1は「個食」ということが分かります。
何を食べたか、誰と食べたか、何人世帯なのかなどから、夕食の食べ方を六つのタイプに分類しました。六つのうち三つは、家族と一緒に同じ物を食べているという夫婦大人型、子独立家族型、子育て家族型でした。残りの三つは、ひとりで食べる個食スタイルで、家族と住んでいるが、時間差で食べている個別差延型、ひとり食型。そして、1人で暮らしている単身世帯型の三つでした。このように、夕食の摂り方は、その人だけでなく、その人が家族の中でどういう立場なのかということが影響しています。
続いて、食べているものをタイプ分けしてみました。これは七つのメニュータイプに分けることができました。中身をみると、主流は伝統的な一汁三菜より一菜少ない一汁二菜食で、47.2%でした。一汁二菜よりも品数が多いスタイルを、一汁四菜や多彩食としました。一方、少ないスタイルを、単品完結食、野菜食、単品セット食、コンビニ食と名付けました。
いくつか具体的にみてみると、多彩食は野菜やサラダ、鶏のから揚げ、焼き魚、さらにサプリメントなど多彩に食べています。一方で、単品完結食はカレーやチャーハン、ハヤシライスといったように1品で済むものを食べるスタイルです。単品に1品加えた単品セット食は、チャーハンとスープ、ラーメンと餃子などです。以上のように、食べ方の組み合わせも非常に多様化していることが、わかりました。
図表1.夕食メニューは七つ ―「一汁二菜」がほぼ過半数
分類した食事スタイルをだれが食べているのかについて、みてみました。品数が多い一汁四菜食は全体の11.7%でした。このスタイルの食事の割合が多かったのが、子育て共働き世帯(28.2%)と既婚夫婦のみ専業主婦世帯(17%)でした。子育て共働き世帯は、時間がない中でも品数が多い食事を提供しているといえます。
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