「市場溶解期の再成長マーケティング」講演録 報告2.
川島 史博、中山 有希
本コンテンツは、2017年11月1日開催の「第11回ネクスト戦略ワークショップ」の講演内容に加筆修正を加えたものです。
ここからは、購買行動におけるチャネル選択、情報取得から購買までのプロセス、これからの顧客接点のつくりかたについて、データを基に解説していきたいと思います。インターネットがどんどん浸透する現代では、段階的な購買モデルではなく、新しいアプローチが求められるようになってきています。
まずは購買行動についてみます。どのような流通チャネルが使われているかというと、月一回以上利用する割合が一番高いのがコンビニ、次いで食品スーパーとなっています。このふたつだけ、5割を超えます。年代別では、40~60代女性が食品スーパー、ドラッグストア、GMS(総合スーパー)をよく使っています。一方、40代男性、10代女性などではコンビニの利用率が高いです。また、10代男性ではアマゾンが特に高い結果となりました。このように、年代によって利用する流通チャネルに差があるということがいえると思います。
次に人口30万人以上で百貨店が30分圏内にある大都市と、30万人未満で食品スーパーかGMSのどちらかが30分圏内にある地方郊外とを、比べてみました。1年間に利用するチャネルの数は、大都市が11.64、地方が7.7でした。この結果から、大都市はいろいろなチャネルを使っているということで、「大都市重層生活圏」と名付けました。また、1ヶ月の買い物の中で、食品スーパーやGMSなどそれぞれの業態が何割を占めているかを調べたところ、地方郊外生活圏の方が、より上位に集中していました。大都市では食品スーパーとコンビニが拮抗していますが、地方では食品スーパーのシェアが大きいです(図表1)。
今回注目したのが、コンビニの利用実態です。利用者がどんなことを期待しているのかについて調べました。一番期待されていたのは、弁当やサラダなどの惣菜、調理済み食品の品揃えで約27%でした。そのほかでは、生鮮食品を揃えてほしいや、ATMサービスの充実、24時間営業を続けてほしいなどが挙がりました。
これを生活圏別に見ると、大都市ではほかと比べて惣菜・調理済みの食品への期待が高かったです。また、24時間営業の継続も期待度が高いです。一方で、地方はイートインコーナーへの期待がほかよりも高くなっています。
普段買い物で利用しているすべての業態数から、シェアの8割に達する割合を出してみると、大都市で44%、地方で31%という結果でした。つまり、大都市の方が地方よりも様々な業態を利用しています。中身をみると、大都市では駅ビル・ファッションビルがよく利用する業態の10位以内に入っていますが、地方では入っていません。逆に、地方では楽天やアマゾン、ファッション専門店が入っていました。
顧客接点のメルティングとアイデンティティ消費
- 発刊以来15年間の知見とデータから「今」を鋭く分析し、「半歩先」を提案
- オリジナルの時系列調査から現在の消費者の実像に迫る
- 中長期だけでなく、短期のマーケティング戦略を構築するための基本データが満載
参照コンテンツ
- 第11回 ネクスト戦略ワークショップ「市場溶解期の再成長マーケティング」ご案内
- MNEXT 第11回ネクスト戦略ワークショップ 講演録
提言.市場溶解期のビジネスモデル変革 - JMRからの提案 第11回ネクスト戦略ワークショップ 講演録
報告1.生活者をどう捉えるか―消費を牽引する「三層」の分析 - JMRからの提案 第11回ネクスト戦略ワークショップ 講演録
事例.メルティング時代の4M志向ビジネスモデルに学ぶ - MNEXT 最新版「『消費社会白書2018』―顧客接点のメルティングとアイデンティティ消費」のポイント
- 消費から見た景気指標
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