本コンテンツは、2024年11月7日に開催したネクスト戦略ワークショップ Session4の講演録です。
【講演録一覧】Session1「本格消費回復への転換-価値集団の影響力拡大」
Session2「価値スタイルによる生活の再編と収斂」
Session3「価値スタイル」で選ばれるブランド・チャネル・メディア
「消費社会白書2025」で明らかにしたもっとも重要なファインディングは、生活が、価値観にもとづきライフスタイル化していることです。これまで議論されてきた年代、世代、ライフステージではなく、ネットなどで結ばれた価値観で行動し、商品の選択をするようになりました。
もうひとつは、売上や商品シェアがロングテール化し、市場の多様化が進んでいることです。市場に投入される商品やブランドが増加しているということでもあります。
セッション4では、人々が価値スタイルで選択や行動をしていることと、市場多様化との関連性を明らかにし、企業のマーケティング対応策を検討します。
現象からみると市場多様性は、市場シェアの分散、つまり、個々のブランドの売上などのロングテール化をもたらします。
このような市場シェアの分散やロングテール化をもたらしている消費者側の要因として、個人の価値観の多様化と、個人が帰属する社会集団の多様化のふたつが考えられます。社会学では、社会集団とは、家族のように集団内部で相互作用や相互依存がみられる、「3人以上の集まり」と定義しています。
つまり、市場の多様化の背景には、個人の価値観がバラバラになり分散したという要因と、個人が所属する家族、会社、地域などの社会集団が多重化したという要因があります。もちろん、個人と集団の相互作用もあります。ここでは、市場の多様性に関わる個人の価値観の多様性と、所属する社会集団の多重化とその特性をみてみます。そして、集団の特性が市場の多様性と集中にどのように関わっているかをみていきます。
① 個人の価値観の散らばり
まず、個人の価値観の推移について確認していきます。こちらでは2005年から2024年までの価値意識項目の標準偏差の推移を時系列で比較しています。2005年から継続している価値意識項目全32項目のほとんどの項目で上昇傾向がみられました。特に2005年から2007年に底を打った後に上昇傾向にある四つの項目に焦点を当てています。2005年から2024年までで標準偏差が漸増していることがわかります。このことから、個人の価値意識が平均から離れる人々が多くなったといえます。その理由は、価値意識を平均化する力が弱まったという側面からも捉えることができます。高齢化で平均余命が延び、退職年齢、健康余命などが分散し、より活動的になることによって、年齢に影響されにくくなったこと、そして、単身化が進むことで、未既婚意識が薄れたことが要因として挙げられます(図表1)。

②集団の価値観の同質性と異質性
購買や消費は個人行動ですが、他者を意識した集団行動でもあります。では、集団ではどのような特徴がみられるのか、個人が帰属する社会集団の集団特性を確認します。
社会集団は、どれほど仲間内志向が強いかを同質性とし、仲間外への排他志向を異質性として、ふたつの特性からみています。これは社会集団の定義から導いています(図表2)。

先程の価値意識項目で特に標準偏差の値が高かったもの、価値観の散らばりが高くなっている三つを抽出しています。「理想や夢をもって生活したい」「あたたかな家庭や社会をつくりたい」「自由きままな生活をしたい」という項目に対し、属性別に、標準偏差を集団内同質の程度とし、標準誤差を集団間異質化の程度として確認しました。
集団内では、値が高いほど分散が高く、低いほど同質傾向が強いと判断します。属性別に集団内同質をみると、年代に比べ、価値スタイルの集団が特に値が低くなることがわかります。他の世代やライフステージの属性を含めても同じ傾向がみられました。他の属性集団よりも価値による集団のほうが、より同質化(似たもの同士が集まる現象)が強いといえます。そして、集団間異質化では、値が高いほど異質化(他の集団と差を付けたい)をしたい、と捉えます。確認すると、項目によって違いはありますが、「価値スタイル」の「ひとり満喫」と「脱力系」にやや強めに出ていることがわかります。これらの結果から、所属集団によって、集団内同質化と集団間異質化に大きな差があるということです。例えば、20代でもあり、「先進感覚」にも所属している場合、年代よりも価値観集団との方がより、似たもの同士が集まっているということになります。
各属性における集団内同質と集団間異質を総合的に確認する為に、それぞれの項目において属性内で各集団の順位付けをし、合計得点を出し、点数によって「高」「中」「低」と評価しました。
年代、「価値スタイル」の個々の社会集団の特性は、上記図表2のとおりです。集団内同質は、年代が上の集団、「価値スタイル」では「品格上質」「先進感覚」が高いことがわかりました。集団間異質では、年代が下の集団、「価値スタイル」では「ひとり満喫」「脱力系」が高いという結果になりました。この結果を解釈すると、50代や60代といった年代が上の集団については、同質が強く異質が弱いため、同じ年代と同質を求め、他の集団に対してはあまり関心を持たない傾向があるということになります。
また「価値スタイル」の「品格上質」「先進感覚」などの価値集団においても、「仲間内」「身内」意識が強く働き、様々な面で同じものを所有するという同質化傾向が強くなります。一方で仲間以外との差異化意識が中程度、やや排外的な傾向があるということです。
例えばこの集団の購買行動の例として、この集団内である商品が採用された場合、同質化志向によって模倣効果が働き、集団内で一気に広がります。一方で、他集団でも同じ商品が採用されると、今度は差異化意識が働き、採用率が低下するというシナリオが考えられます。
③商品選択意識の反順応性と同質性
価値観の項目では集団によっても、集団内の同質、集団間の異質に違いがあることがわかりました。今回の分析により、個人の行動に影響を与える社会集団は、集団内同質性と、集団間異質性、そして、集団内でも集団間でも作用する反順応性、つまりヒップスター効果という三つの特性があることがわかりました。
それぞれの集団において、反順応主義、同質性が買い物意識のなかでどのようになっているか確認します。関心度の高いカテゴリーにおいて「多くの人が持っていないものを選びたい」という意識を反順応傾向、「知人や友人と同じものを選びたい」という意識を同質傾向としてみています。それぞれの賛成率に対し、属性内順位によって「高」「中」「低」で評価しています。評価基準は先ほどと同じです(図表3)。

結果、集団間で大きな差があることが確認できました。属性集団では、「先進感覚」が他と比較して反順応性、同質性ともに大きな差がでる結果となりました。同質性が高いということは、仲間内での模倣効果が高いということ、また反順応性に関して突出して高いということは、全体や他集団にある商品が大勢を占めると、ある商品から別の商品へとスイッチする傾向が強くなるということです。
① ブランドの寡占化とロングテール化
このような集団特性がブランド市場と商品の購入にどのように影響するのかをみていきます。
商品カテゴリー市場には、シェアによって異なる市場構造があります。具体的には、少数のメーカーやブランドが大半のシェアを握る寡占市場と、多数のメーカーやブランドが乱戦するロングテール市場があります。そして、多くはこのふたつの中間です。
事例としてカップ麺ブランド市場と、口紅ブランド市場でのシェアをみていきます(図表4)。

任意の20ブランドで調査したカップ麺ブランドでは、上位3割のブランドで累積シェアは68%となっており、寡占市場であることがわかります。左のグラフでみても特に1位のブランドのシェアが高いことが確認できます。口紅ブランドをみると、上位3割での累積シェアは58%となっており、1位のシェアは20%以下となっており、以降のブランドも多岐に渡ることからロングテール市場となっています。
カップ麺は寡占市場、口紅は典型的なロングテール市場です。
一般には、寡占市場の寡占メーカーはコスト優位によって、市場支配力を持ち高い収益性に繋がります。ロングテール市場では、価格は流通が決定し、そのもとでメーカーは行動せざるをえず、プライステイカーになるので、低収益です。売り手にとっては、独占禁止法を遵守して、いかに市場支配力を高めるかが重要になります。
このような市場の違いはどのように生まれるのでしょうか。カップ麺と口紅についてどのような層に支持されているのか、各カテゴリーの受容層をみていきます。
②受容層の特性-カップ麺
まずは、カップ麺ブランドについて代表的な日清食品のカップヌードル、どん兵衛、特徴的だった東洋水産の麺づくりをみてみます。
今回の調査で取り上げた、任意20ブランドの直近購入のなかでは、カップヌードルのシェアが一番高く、46.3%、どん兵衛が10.1%で2位でした。1位と2位の差も36.2%と大きくなっています。
受容層を構成比で確認すると、全体のカップ麺購入者のうち、「価値スタイル」の「平凡充実」が一番多く、次いで「独身社会人」「50代」という結果でした(図表5)。

それぞれのブランドをみると、シェアの高いカップヌードルの受容層は全体と同じく、「平凡充実」「独身社会人」「50代」でした。どん兵衛では3位に「子独立」、麺づくりでは1位は「質素悠々」でした。カップ麺全体の構成比は、カップヌードルのシェアの高さがカテゴリー受容層に影響していることがうかがえます。また、それぞれの属性について、先程評価した同質性、異質性、反順応性、加えてネット対応力についても一覧にしています。ネット対応力とは、今回の調査でSNSやYouTubeなどのネット活用の割合を属性ごとに評価したものです。
全体的に、「中~低」という評価が多いことが確認できます。カップ麺購入には集団としての模倣性も低く、異質化、反順応性、情報波及スピードも低いことから、根強いファン層にゆっくり長く浸透する傾向にあり、寡占化しやすいということになります。
③受容層の特性-口紅
続いて、口紅ブランドを同様にみていきます。任意21ブランドにおける1年内購入のシェアは、1位がカネボウ化粧品の「KATE」で25.1%、2位は同位で資生堂の「マキアージュ」と韓国ブランドの「ロムアンド」の12.0%でした。カップ麺と比較すると、1位のシェアの割合も低く、2位との差は13%という結果でした。
全体の受容層は、「独身社会人」が一番多く、続いて「平凡充実」「質素悠々」となっています。各ブランドの受容層を確認すると、各ブランドで受容層が異なり、同順位となる属性も多くみられる結果となりました。これにより受容層が分散していることがわかります(図表6)。

受容層の社会集団特性は、全体的に「中~高」という評価が多くみられます。ここからいえるのは、仲間内での模倣が強く、仲間外への差異化意識が強く、他者とは異なる行動をとる傾向のある反順応性が強いことから、新しいトレンドが生まれることがわかります。また、ネット対応力も強いことから、ひとつのブランドがある集団に急速に広がり、他集団が追随するとすぐにブランドスイッチがおこることになります。その結果として、小さな山が複数できるロングテール市場が形成されやすくなるということです。
④受容層の特性-カップ麺と口紅の受容層の違い
次に、市場を構成する個人と社会集団の特性と市場構造との関連をみてみます。典型的な寡占市場のカップ麺と、ロングテール市場の口紅の受容層の集団特性をみると、明らかに差があります(図表7)。

両方とも、ブランド市場なので、中程度の高さの同質集団で構成されています。違いは、寡占市場では、構成する集団数の数が少なく、異質性と反順応性が低くなっています。これは売り手のターゲティングの結果でもありますが、このような市場では、ブランドが仲間内でシンボルとして支持され、他の集団に影響されません。ブランドチェンジもあまり起こることなく、生産コスト優位を背景にした宣伝広告費などで寡占化を形成しやすい状况であることがわかります。この市場で、日清は、メーカーブランド名戦略をとり、マルチブランドで多数アイテムを投入して寡占化を維持しているようです。
他方で、口紅は、カップ麺市場の受容層と比べ、仲間内志向の高い集団に受け入れられています。異質性と反順応性が高く、他集団との差異化が重要になります。また、あまり普及すると反順応性が高く、新しいブランドへのスイッチが起こるような市場環境です。従って、トップシェアも低く、多数のブランドが競合する状况になっています。
このように、市場の受容層の違いによって、寡占化しやすいかどうかが決まってきます。また、受容層の選択とアプローチによってシェアが高められるかどうかが決まってきます。売り手にとっては、少ない社会集団で構成され、中程度以下の同質性で、異質性や反順応性が低い社会集団で構成される市場が、寡占化しやすく、高収益が獲得しやすいといえます。しかし、市場特性の基本は消費者が決めるものであり、消費者変化は、個人の多様化と所属集団の多重化によって、ロングテール化が進むと予測できます。
⑤価値スタイル層の先行遅延関係
先程確認した、同質性、異質性、反順応度、情報感度、四つの特性を、「価値スタイル」別に比較し、今回の調査における構造と役割を整理し、解釈してみました。
消費態度にも前向きな「先進感覚」ですが、四つの特性としても異質性が「中」、他は高い結果となっており、新しい商品、話題にも敏感な消費のリーダー的役割を担っていると考えられます。こうした突出行動をとるのが「先進感覚」だといえます。
「品格上質」に関しては、消費にも冷静な態度がみられ、情報感度も高いです。そのため、「先進感覚」に追随して品質を見極めスクリーニングしていきます。そして、スクリーニングされたなかからゆっくりとマス層である「平凡充実」に波及拡大していき、「質素悠々」や「ひとり満喫」などのフォロワーに広がっていくと考えられます(図表8)。

① 市場ダイナミクス
こうして、社会集団の特性と市場構造には密接な関連があることがわかりました。このような集団特性がどのような市場構造の変化を生むのかを分析するために、数式によるシミュレーション分析をおこないました。現実を単純な数式にモデル化し、環境を捉える変数と社会集団特性をパラメータとして設定し、時系列変化をみました。但し、微分方程式モデルなので解が不安定なことはいうまでもありません。パラメータの与え方と数値計算含めてのより精密な調整が必要です。
結果は、カップ麺のような寡占の市場特性と口紅のようなロングテールの市場特性では、対称的な時系列変化が現れました。
ご覧頂いているのは、市場特性が生む市場構造の概要です。
この分析で使用する社会集団特性には四つのパラメータを利用します。これまでの説明にもありました「集団同質性」「集団異質性」「個人反順応性」「情報感度による遅延効果」です。
この四つの社会集団の特性が、市場構造に影響し、ふたつの典型的な市場の特徴を作る市場ダイナミクスを生み出します。寡占市場化傾向となる長期変動と、分散市場化傾向となる高速変動です。

②集団の市場変動の方程式
今回応用した微分方程式は、このようになっています。

それぞれ、集団の採用率、集団同質性の強さ、集団間異質性の強さ、反順応性効果、時間的遅延の値を当てはめ、今回は極端な特性の三つのグループを仮定してシミュレーションをいたしました。
③長期変動と高速変動
先程の微分方程式にパラメータの値を設定し、シミュレーション分析をすると、このようなふたつの変動の特徴が現れます。
この長期変動と、高速変動について簡単に説明させていただきます。縦軸を集団の採用率、横軸を時間としてみます。
まず同質性についてですが、集団内の同質性が高いと、上に、低いと角度は緩く変動し上がっていきます。そして異質性が高いと急降下、低いと緩やかに落ちていきます。次の折り返しの地点で反順応性が高ければ急上昇、低ければ緩く上昇します。また、集団の大きさがボトムからトップへの高さを決めます。情報共有スピードが次の波及速度への幅を決定します。
それぞれの集団特性の組み合わせにより、左のような緩い変動になる場合は長期変動、
右のような急速な動きをする場合は高速変動のように、ふたつのパターンを生み出します。

④市場構造シミュレーション - 長期変動
この法則で、三つの極端なグループを想定し分析を行いました。各グループそれぞれに四つのパラメータを与え、シミュレーションをおこないました。グループ1は、模倣効果と反順応性が高く、遅延効果が「低」、ネットなどの波及力が高いと想定しております。グループ2はすべてのパラメータで中程度、グループ3については模倣効果が弱く、反順応性も弱い設定にしています。グループ3の模倣効果が弱く反順応性も弱い集団が70%の影響力をもった場合のシミュレーション結果は、黒い曲線が全体を包括する変動の動きになります。緩やかな曲線になるこの状態が長期変動です。カップ麺のブランド市場はこのように動いていると推測します。同質性が弱い大きなサイズの集団で、模倣効果によって、普及しますが、遅延効果が高く、反順応性が低いので、長いブランドライフサイクルを描きます。

⑤市場構造シミュレーション - 高速変動
続いて、グループ1のように、模倣効果も高く、反順応性も高い集団が70%の影響力を持つものと設定すると、全体の黒い曲線は、短期的に上下に変動します。これが高速変動市場のシミュレーション結果です。化粧品ブランドなどにみられる動きです。口紅のような市場は、ブランドシェアが低く、ブランドライフサイクルが大変短くなります。同質性が中程度の小さなサイズの集団で、模倣効果によって、普及し、内外ともに反順応性効果が現れて、すぐに、ブランドスイッチが起こります。

⑥市場多様化の影響
これまでみてきたように、個々の商品市場では、シェアの分散やロングテール化が起こっています。トップシェアが10%を超えない市場が増えています。他方でカップ麺ブランドのように寡占市場もあります。
これまでの内容をまとめるとこのようになります。
ひとつ目には、個人の価値観の多様化と所属集団の多重化です。弊社は、個人の価値観の多様化は、年齢や未既婚に囚われる考え方が弱くなったことが大きな要因と考えています。
ふたつ目に、私たちは個人ですが、群れを形成します。その背景にはSNSなどで発信する人々の、誰かに知ってほしい、認められたいという欲望があります。その群れは、同質性、異質性、反順応性などの異なる特徴を持ちます。
この個人の価値観が多様化と新しい群れ形成が、市場環境を大きく変えています。
三つ目に、価値集団は影響力の大きさが違います。
四つ目に、このような市場多様化がシェアの集中やロングテール化を生みます。
五つ目に、ブランドによって受容集団の特性に違いがあります。
このように市場多様化を、社会の変化によって淘汰を余儀なくされているのが、商品やブランドのライフサイクルです。市場多様化は新しいブランド価値を求めてダイナミックに変化しています。市場の多様化を正しく読み取らなければ、One-to-Oneの幻想や商品多様化の罠にはまり、低収益に陥ってしまいます。

⑦価値観の群れを掴むBLCM
市場多様化の背景には、社会的構造の変化、個人価値観の多様化と所属集団の多様化があります。そして、市場変動をもたらします。その市場を変動させている群れ集団がみえていなければなりません。
今回おこなったシミュレーションが意味するところは、個人の価値観の多様性や所属社会集団の多重化が、市場にダイナミクスをもたらすことです。
従って、このような構造的な進化的な変化に対応するには、「ブランドライフサイクルマネジメント」が必要です。製品にライフサイクルがあるようにブランドにもライフサイクルがあります。
市場多様化への答え、ソリューションは大きくいえば三つです。
ひとつは、個人が所属する集団を捉える、ということです。弊社では、ロングランで捉えることのできる尺度を開発し、価値スタイルを提案しています。
ふたつ目は、「価値を拡張せよ」です。群れは価値観で結びついています。これまでのブランドは、多様化の時代では平均になってしまうため、アイデンティティを失っています。価値観の群れを攻めるには、価値を再定義し、拡張しなければなりません。
三つ目は、市場多様化は、市場のダイナミックな変化、つまり、ブランドの淘汰と新種ブランドを求めています。ブランドの寿命のマネジメントでライフサイクル課題をみつけて対応する先取り型の対応が必要です。弊社では、ブランドライフサイクルマネジメントと呼んでいます。これはマーケティングの世界でありそうでなかったコンセプトです。総合的に、このブランドライフサイクルマネジメントが必要になります。
市場多様性は、ブランドライフサイクルの長さや安定性に大きな影響を与えます。従って、最適な市場を選択することが適者生存の戦略ということになります。その帰結は、ブランドライフサイクルマネジメントであり、価値拡張で群れ、つまり集団を捉える戦略であると今回の調査で明らかになった原則として提唱いたします。
高速変動に対応したブランド戦略、長期変動に対応したブランド再生戦略による「ゆりかごから墓場まで」のうまいマネジメントが必要になる、ということを示唆しています。ブランドライフサイクルマネジメント(BLCM)は弊社のオリジナルです。機会をあらためて事例で説明させていただきたいと思います。
