減収減益で苦しくなると、どの企業も利益率の高い商材に重点を置き、利益確保に努める。各社のPB比率の上昇はこの動きに合致したものである。特に、小売業の売上高に占めるPBの売上比率は、日本では5%程度に過ぎないが、ヨーロッパ各国では30%を超える国が多く、イギリスでは43%にまで達している。個別企業では、ドイツのディスカウンターであるアルディでは90%を超え、小売最大手のウォルマートが39%、二番手のカルフールで35%、三番手のテスコは50%といずれも高水準にある。
日本の小売企業は欧米の大手小売企業のPB成功に学び、PB比率をこの2~3年で10%~20%に拡大しようとしている。果たしてPB比率を上げることは収益につながるのであろうか。世界の小売上位30社のなかでデータ分析が可能な15社についてPB比率と収益性との関係を分析してみた(図表1)。利益率とPB比率は「U字型」の関係になっており、中途半端なPB比率は収益性を悪化させるということがわかる。日本の小売企業は、現在は儲かる水準にあるが、このまま単純にPB比率を上げていくと低収益ゾーンに入ることになり、PB比率をどの水準にもっていくか、あるいはどんなPB戦略を採るか、が問われている。
図表1.世界の小売大手企業15社のPB比率と・売上高成長性・営業利益率の関係 |
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