10月20日公表の月例経済報告によると、景気の基調判断は「景気は、このところ弱含んでいる。」から「景気は、弱まっている。」へと下方修正された。比較的堅調さを保ってきた個人消費についても、消費マインドの悪化や所得の弱さを背景に、「おおむね横ばいとなっている。」から「おおむね横ばいとなっているが、足元で弱い動きもみられる。」へと1年半ぶりに下方修正された。景気の更なる悪化をもたらすリスク要因として、「アメリカ・欧州における金融危機の深刻化や景気の一層の下振れ懸念、株式・為替市場の大幅な変動」などが指摘されている。
今回の報告は、消費を含めて景気の悪化を明確に打ち出し、景気の先行きに対する警戒感を内外に示したものとなっている。ここ1ケ月の間に顕在化した実体経済並びに金融市場両面でのショックが、政府にとって予期せぬ大きなものであったことが、基調判断の大幅修正に踏み切った背景にあると目される。
米証券4位のリーマン・ブラザースの破綻を端緒とする米国発の金融不安は、世界各国に株価の大幅下落の連鎖をもたらした。10月10日の先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)の場で、公的資金による金融機関への資本注入など5項目の対策を盛り込んだ「行動計画」が発表されたが、株価の反転上昇の材料としては一過性のものにとどまった。日米の株価はその後、米国での景気悪化の進行や中国の経済成長率2ケタ割れなど、景気の先行き悪化を示唆する材料の方に反応しやすい状況にあり、大幅な乱高下を見せている。特に日経平均は10月27日に一時、バブル崩壊後の最安値(7,607円88銭:終値)を更に下回る7,500円割れを記録した。10月14日公表された平成20年9月の消費者態度指数は、4月以降続いていた下落基調からわずかに持ち直しているが、10月に入り顕在化した株価の大幅下落の影響は織り込まれておらず、消費マインドの先行きは楽観できない。
先月同様、消費の先行きについては予断を許されない状況にあり、今後の消費動向の見極めが難しい岐路に立たされていることに変わりはない。
(1)INDEXは過去最悪の水準に落ち込む
図1.消費INDEXの動き |
INDEXの数値は、2008年7月に40.0となり前月の20.0から一旦改善したが、8月には再び悪化し6.7と過去最悪の水準を記録するに至った。INDEXの趨勢も下降トレンドのままであり、消費が下降局面にある点は前回と同様である。
本コンテンツの全文は、会員サービスでのご提供となっております。 以降の閲覧には会員サービスご登録が必要です。
|