2009年1月の月例経済報告によると、景気の基調判断は「急速に悪化」へと4ヶ月連続で下方修正された。生産については鉱工業生産指数などの急速な悪化を考慮して、「極めて大幅に減少している」と「極めて」の表現を追加し2ヶ月連続で下方修正した。輸出も米国を中心とした海外市場の不振が重しとなっていることから、「極めて大幅に減少している」と「極めて大幅に」を加えて2ヶ月ぶりに判断を下方修正した。これまで堅調だった個人消費も、年末商戦が盛り上がりに欠けていることなどを踏まえて、「このところ弱含んでいる」へと3ヶ月ぶりに下方修正している。内閣府として、景気の落ち込みはこれまでにない速さで進んでいる、との認識を示している。
2009年1月16日に日本銀行支店長会議を経て取りまとめられた地域経済報告(さくらレポート)によると、全9地域の景気判断を2回連続で下方修正した。これは2005年4月の調査開始以来、初めてのことである。総括判断も、前回の「停滞」から「悪化」へと下方修正している。項目別では生産、雇用・所得、個人消費で全地域を下方修正している。製造業を中心に非正規社員の削減が加速するなど雇用調整が本格化し、雇用者の所得も残業代やボーナスのカットなどの形で全地域とも弱含みの状況となっていることに加えて、各地域で家計の節約志向も強まるなど、消費の落ち込みと企業業績の一段の悪化を招く悪循環に陥っていると見ている。地域別では、自動車関連産業が集中する東海で前回の「高水準を保ちつつも下降局面」から「急速に下降」へと大幅に下方修正されたことを始めとして、電機や建設機械といった輸出関連産業の比重が高い地域ほど落ち込みが目立ち、海外経済の停滞や円高に直撃された格好だ。2009年1月28日に開かれた財務省全国財務局長会議でも、2008年10~12月期の景気が「全国的に悪化している」と総括判断が示された。4期連続での下方修正は、「悪化」の表現が比較可能な1985年以来、初めてのことである。47都道府県の判断も一斉に引き下げているが、全都道府県での下方修正は都道府県ごとの景気判断を始めた2003年10~12月期以来、初めてのことである。
景況感の悪さとその加速ぶり、地域経済の総崩れ状況は、世間の共通認識となりつつある。2009年の経済見通しについて、政府は実質ゼロ成長、日本銀行は実質マイナスへと下方修正する方向を示すとともに、日銀が当初「09年度半ば」と想定していた景気の回復時期も後ずれする公算が高いことなどから、消費にかかる足かせは益々重くなっている。
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