2009年2月の月例経済報告によると、景気の基調判断は5ヶ月連続で下方修正され、「急速な悪化が続いており、厳しい状況にある」へとより踏み込んだ判断が示された。5ヶ月連続の下方修正は、ITバブル崩壊時の2001年2月~6月以来のことである。個別項目のうち、消費については「このところ弱含んでいる」から「緩やかに減少している」へと2ヶ月連続下方修正された。しかも「減少」という表現が盛り込まれたのは初めてのことであり、消費の不振は、金融システム危機のあった1998年頃に「低調」という表現が用いられたのと同じぐらいの深刻さであるという。世界経済については「世界の景気は後退しており、急速に深刻化している。先行きについては、金融危機と実体経済悪化の悪循環がさらに強まり、一段と下振れするリスクがある」と、「悪循環」の文言が加わった上で下方修正された。米国、アジア、欧州の個別判断についても、それぞれ下方修正となったが、全地域での下方修正は2001年2月からの発表開始以来、初めてのことである。
2009年2月26日に内閣府より公表された地域経済動向調査によると、前回2008年11月の調査に続き全地域の景況判断が下方修正されたが、今回は全地域ですべての項目の判断が引き下げられている。特に東海と北陸については「極めて急速に悪化している」と大きく引き下げられているが、東海は自動車の生産の大幅な落ち込みに加え鉄鋼など素材業種も生産の減少幅が拡大しており、北陸は電子部品/デバイスの生産の大幅減が影響している。両地域の雇用情勢は前回の「悪化しつつある」「やや悪化しつつある」から、いずれも「極めて急速に悪化しつつある」に引き下げられている。東北、北関東、南関東、中国、九州の5地域については、景気は「急速に悪化している」、生産は「極めて大幅に減少している」との判断が示され、北海道、近畿、四国の3地域の景気は「悪化している」、沖縄は「弱まっている」に引き下げられている。
2009年3月10日に内閣府より公表された2009年1月の景気動向指数速報によると、景気変動の速度や程度を表すCI指数について、一致指数は6ヶ月連続の悪化、先行指数は4ヶ月連続の悪化となった。同じく内閣府から翌日の3月11日に公表された1月の機械受注統計によると、国内設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整値)は前月比3.2%減となり、1987年4月以来初めて4ヶ月連続での減少となった。2月の月例経済報告の時点では、機械受注の2009年1-3月期見通しについて前期比4.1%増が見込まれてはいたが、今後下方修正の可能性の高いことが裏付けられた格好だ。更に、稼働率も急速に低下しており、設備投資については先行きが懸念されている。消費反転の見通しを描くには、現状では好材料に乏しい。
本コンテンツの全文は、メンバーシップサービスでのご提供となっております。 以降の閲覧にはメンバーシップサービス会員(有料)ご登録が必要です。
|
本論文に関連する統計データ