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(2010.02)
月例消費レポート 2010年2月号
失策重ね失墜する鳩山内閣。「消費の本格調整」への警戒続く
主任研究員 菅野 守

1.はじめに
 景気は政策による下支え効果で今のところ「二番底」を回避しているが、景気の先行きに対する不安はまだ払拭しきれてはいない。
 2010年1月20日公表の2010年1月の月例経済報告によると、景気の現状については2009年12月と同様、「景気は、持ち直してきているが、自律性に乏しく、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある」とし、基調判断は6ヶ月連続の据え置きとなった。「緩やかなデフレ状況」との判断は、今月も維持されている。先行きについても前月同様、「当面、厳しい雇用情勢が続くとみられるものの、海外経済の改善や緊急経済対策の効果などを背景に、景気の持ち直し傾向が続くことが期待される」としている。景気の下押しリスクをもたらす要因については、(公表当時は)株価や為替相場が堅調なことを踏まえ、前月まで入っていた「金融資本市場の変動の影響」の文言が削除され、雇用情勢の一層の悪化、海外景気の下振れ懸念、デフレの影響の三つに絞り込まれている。月例経済報告等に関する関係閣僚会議終了後の会見の中で、菅直人副総理兼財務・経済財政担当相は、「雇用が厳しいなかでほかが良くなっても、上方に判断を変えるのは難しい」とコメントしており、景気の自律回復を判断する材料として雇用情勢を注視する考えを示唆している。
 個別項目を見ると、住宅建設は、住宅着工戸数の回復基調を反映し「おおむね横ばいとなっている」から「このところ持ち直しの動きがみられる」へと、2ヶ月連続での上方修正となった。輸出と生産の持ち直しは続いているものの、生産増の動きは自動車関連以外には広がっていない。ボーナスが大きく減少したにもかかわらず、個人消費は持ち直しの動きを続けているが、好調な分野は自動車や家電など政策効果の効いているところに限られ、外食や旅行など政策の恩恵を受けないその他の分野は冴えない。設備投資については前月同様、「下げ止まりつつあるものの、このところ弱い動きもみられる」としているが、2009年11月の機械受注が予想以上の減少となったことを受けて、設備投資の回復見通しはまだ立っていないとの見方が優勢だ。
 海外経済の現状については前月同様、「景気は緩やかに持ち直している」としており、先行きについても「緩やかな持ち直しが続くと見込まれる」との判断を維持している。地域別にみると、アジア地域のうち中国に関しては、先行きについて「欧米向けを中心に輸出は弱い動きが続くものの」の文言が削除され、判断は上方修正されている。今月より新たに言及のあったインドに関しては、現状、「景気刺激策の効果もあり、景気は内需を中心に回復している」とし、先行きは「引き続き内需が堅調に推移するとみられることから、回復傾向が続くと見込まれる」としている。ただし景気の下押しリスクの要因として、農業生産の減少を指摘している。米国とヨーロッパ、その他のアジア地域に関しては、判断を据え置いている。
 設備投資の回復の遅れや厳しい雇用・所得情勢、デフレ懸念といった景気下押し要因が残り続ける中で、内閣府は「景気は自律的な回復に至っていない」との見方を崩していない。景気の二番底リスクについて菅直人経済財政担当相からは、「何とか回避できると思っているし、期待もしている」という前向きな発言がなされる一方で、「リスクが去ったわけではない」との厳しい認識も示されるなど、景気の先行きについて楽観視はしていない。

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