11月21日に衆議院が解散されたことで、今年も2年前と同様、選挙で暮れる年の瀬となった。ただメディアでは、事前の選挙予測として「自民党300議席超え」「自民党単独で3分の2をうかがう勢い」などと報じており、2年前と比べても今回の選挙に対する関心は明らかに乏しいとの声は、メディアだけでなく選挙に臨んでいる各党からも漏れ聞こえる。政権与党は既に選挙後を見越して、年明けの通常国会で提出予定の、最大3兆円規模の補正予算案や消費税再増税延期のための法案などの準備にも余念がない。
11月17日に公表された2014年7~9月期GDP速報(1次速報)で、GDP成長率は前期比で実質マイナスになったことに加え、12月8日に公表された2次速報ではGDP成長率が下方修正されたことで、4月からの消費税増税後の景気の低迷ぶりが再確認されるとともに、景気や消費の先行きに対する悲観論も一部では強まりつつある。日本銀行は先立って、10月31日の金融政策決定会合にて異次元緩和第2弾の実施に踏み切っているが、その後11月18日と19日の両日に開催された次の金融政策決定会合でも、引き続き緩和のスタンスを堅持している。景気の基調判断も10月時点から据え置きとしてはいるが、個別項目での判断の変化を見比べると、改善が示唆される項目と悪化が示唆されるものとが混在しており、景気の先行きに対する判断に若干揺らぎが垣間見える。政府は、11月25日に公表された2014年11月の「月例経済報告」の中で、景気の現状について個人消費の弱さを明記するなど、下方修正含みの判断が示されている。更に、景気の先行きに対するリスク要因に関する文言として、「駆け込み需要の反動の長期化」が外され、新たに「消費者マインドの低下」が盛り込まれている。政策対応に向けた政府の関心は、消費増税による個人消費への下押し圧力と、それに伴う景気への悪影響の方に移りつつあるようだ。安倍政権がいち早く消費税再増税延期を表明し、その是非を賭けて解散総選挙に打って出たことも、消費の先行きに対する並々ならぬ警戒感を示唆するものといえよう。
消費税の再増税が2017年4月まで延期されたことで、消費を取り巻く悪材料のひとつが一旦、短期的には取り除かれた格好となっている。夏場を境にスランプに陥っている消費や消費マインドにいつ頃底入れのタイミングが訪れ、復調へのきっかけをいかに早くつかめるかが、総選挙後の景気や消費の先行きを巡る次の関心事となろう。
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