2月に入り、円高・株安・低金利の流れに、一段と弾みがついた。長期金利のマイナスも、一過性の特別な事象から、日常でもよく観察されるような持続性のある事象へと、徐々に変わりつつある。内外の景況不振や地政学リスクの長期化は、相場の頭を重くしている。
2016年1月28、29日の日本銀行政策委員会・金融政策決定会合の場で、マイナス金利の導入が決まった。その主な狙いは、金融機関が保有する日本銀行当座預金の一部にマイナス金利を適用することで、日銀内部に滞留していた金融機関の資金を、最終的には企業への融資あるいは金融資産への投資として市中へ放出させることにある(これは、ポートフォリオ・リバランシング効果と呼ばれている)。だが今のところ、マイナス金利政策によって、日銀が期待していた通りの効果が、マーケットで実現されているとは言い難い。逆に、長期金利のマイナスが一層進行した。リスクテイクに元々後ろ向きだった金融機関は、マイナス金利政策という「北風政策」によって、その身を益々縮めてしまっている。そんな金融機関の姿からは、マイナス金利のダメージを被ってでも国債を抱えている方がまし、と考えている節すら垣間見えてくる。
政府と日銀はともに、景気の現状認識と先行き見通しに関し、緩やかな回復基調にあるとの見方を、引き続き堅持している。また、アジア新興国等の海外景気の低迷・不振に伴う景気の下押しリスクへの警戒姿勢も、両者で共通している。政府は、2016年2月25日公表の月例経済報告で、景気の基調判断と先行き判断をともに、前月に引き続き据え置きとした。個別項目のうち、海外景気については6ヶ月ぶりに判断を下方修正された。個人消費に関しては、前月と同様、「総じてみれば底堅い動きとなっている」とし、判断を据え置いている。ちなみに、2017年4月からの消費税再増税の影響は、政府と日銀ともに、一旦は考慮外の扱いとされている。当分の間は、海外景気の低迷・不振の悪影響にどう備えるかが、政府と日銀にとっての優先度の高い対応事項となりそうである。
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