-ただし、消費をとりまく環境の悪さが、消費回復の足かせに
今年は平年よりも早く桜が開花したが、景気は回復の足取りがますます重くなってきているようだ。マーケットも新年度に入り、円高が再加速し、株価も下げ足を速めている。長期金利がマイナスに落ち込む状況も、長期化しつつある。
2016年4月1日に公表された第168回日銀短観によると、業況判断DIは、全産業で前回よりも悪化するとともに、業種・規模別にみても、中堅企業の製造業を除く五つの層で前回よりも悪化している。中でも、大企業の製造業での悪化ぶりが顕著となっている。ソフトウェアを含む設備投資額(除く土地投資額)のうち、2016年度の伸び率の計画値は、全規模合計の全産業で-0.9%とわずかながらもマイナス、全規模合計の製造業では+0.2%、非製造業では-1.5%と。いずれも低調なものだった。業種・規模別にみると、2016年度の伸び率の計画値は、大企業の全産業、製造業、非製造業、中継企業の製造業の4層ではプラスとなったが、残りの5層ではマイナスとなった。特に、中小企業の全産業では-12.5%、製造業では-20.9%、非製造業では-8.0%と、マイナス幅は顕著に大きい。
景況感の悪化を示す材料が徐々に出始めてきている中で、政府と日銀はともに、景気の現状認識と先行き見通しに関し、これまでの比較的楽観的な見方から、より厳しい方向へとスタンスを移しつつある。日銀は、2016年3月14日~15日の金融政策決定会合で、景気の基調判断については、下方修正含みの判断が示されている。特に、新興国経済の減速による輸出や生産面での鈍化で、景気回復の足取りが重くなる可能性がある。先行きについては、一部の悪材料の影響が徐々に無くなっていくことで、緩やかな拡大が持続するとの判断を堅持している。政府は、2016年3月23日公表の月例経済報告で、景気の基調判断は5ヶ月ぶりに下方修正された。先行き判断については、前月に引き続き据え置きとしている。個別項目のうち、個人消費については7ヶ月ぶりに判断は下方修正された。企業収益については19ヶ月ぶりに下方修正されている。ちなみに、2017年4月からの消費税再増税については、政府と日銀ともに、考慮外の扱いとされている。当面は、海外景気の低迷・不振や内外の金融市場の波乱などがもたらす悪影響への対応が、引き続き重要となりそうだ。
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