JMR消費INDEXは、2017年11月時点まで、上昇傾向を保っている。INDEXを構成する個々の変数の動きをみると、支出水準関連指標では、2017年12月に消費支出、平均消費性向、預貯金の3項目全てが悪化となっている。販売関連指標では、2017年11月時点で、全10項目中、改善が5項目に対し悪化が5項目となり、改善の側と悪化の側の両者が拮抗している。2017年12月時点では、判明している9項目中、改善が5項目に対し悪化が4項目となっており、わずかながらも改善の側が優勢に転じている。支出水準関連指標は悪化の方向に転じているが、販売関連指標では改善の動きが進展している。
公表された2017年12月以降の各種経済指標から、消費を取り巻く状況を整理すると、消費支出は、2017年12月現在、実質では再び、わずかながらマイナスに転じたが、名目では引き続きプラスとなっている。10大費目別にみると、名目と実質ともに、前月11月と同様、プラスの費目数がマイナスの費目数を大きく上回っている。10大費目別では、前月と同様、改善の側が優勢の傾向は保たれている。消費者物価指数は2017年12月に、総合と財の指数の伸び率の値が大きく上昇している。冬場の厳しい寒さや、原材料価格及びエネルギーコストの上昇などによる、一部の商品やサービスでの値上がりの動きが、実質ベースでの消費の伸びをマイナスへと押し下げているようだ。販売現場での動きをみると、2017年12月現在、商業販売や外食などの日常生活財では概ね、伸びはプラスを保ち続けている。耐久財のうち、新設住宅着工戸数では、全体ではマイナスが続いており、カテゴリー別でみてもマイナスの側が優勢である。新車販売では、軽乗用車の伸びは再びプラスに戻したが、乗用車(普通+小型)の伸びは再びマイナスに落ち込んでいる。他方で、家電製品出荷では、黒物家電と白物家電ともに、伸びは概ねマイナスとなってはいるが、伸び率の値はいずれも上昇している。耐久財では、カテゴリー間で好不調が分かれているが、一部で改善の兆しがみられる。雇用環境では、完全失業率は2017年12月にわずかに上昇したが、有効求人倍率は歴史的な高水準を保ちつつ、2017年10月以降は上昇を続けている。収入環境については、現金給与総額、所定内給与、超過給与額の全てで、2017年8月以降はほぼプラスを保ち続けている。消費マインドに関しては、景気ウォッチャー現状判断DIはそれまでの改善傾向から2017年12月には悪化へ転じているが、消費者態度指数は改善の動きが続いている。
経済全般の状況に着目すると、輸出は、息長く改善の動きが続いている。生産も上昇傾向を保っており、最近では、鉱工業生産指数は3ヶ月連続で上昇している。マーケットの動向をみると、株価は1月23日に24,000円台に乗せたのを境に反転下落し、2月に入ってからも株価の下落に歯止めがかからずにいたが、2月14日に終値で21,154円17銭を付けたのを底に株価は反転上昇の動きをみせている。為替は1月末から2月初頭に一時円安に振れるが、2月2日に終値で110円09銭を付けて以降は再び円高の動きが進んでいる。長期金利は、2月1日に終値で0.095%を付けたのを境に反転下落し、その後は2月半ば頃にかけて緩やかな低下傾向にある。
総合すると、消費では物価上昇の悪影響が若干出ているが、消費は回復基調を保っており、回復の動きには引き続き裾野の広がりが認められる。日常生活財は、好調さを保っている。耐久財では好不調が分かれているが、一部で改善の兆しも見受けられる。輸出と生産では、改善の動きが進展している。株価は、2月の半ば頃に下落に歯止めがかかり、その後は株価の上昇が続いている。為替は、2月に入り再び円高の動きが進んでいるが、株価との連動はむしろ切れているようだ。長期金利は2月以降、緩やかな低下傾向にある。雇用環境と収入環境はともに、底堅さを保っている。消費マインドは足許で、一部指標に陰りがみられるが、今のところ全面的な悪化には至っていない。一部で弱い動きが残ってはいるものの、消費をとりまく環境要因は概ね良好であることから、この先、消費が急速な変調に見舞われる可能性は低いと目される。物価上昇や消費マインドのスランプなど、消費を下押ししている諸要因による悪影響が一過性のものに止まれば、消費回復の足取りも更にペースアップしていくだろう。
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