半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net


(2018.03)
月例消費レポート 2018年3月号
消費は引き続き堅調な推移をみせている
主任研究員 菅野 守

 JMR消費INDEXは、2017年12月時点まで、上昇傾向を保っている。INDEXを構成する個々の変数の動きをみると、支出水準関連指標では、2018年1月に消費支出と平均消費性向の2項目が改善に転じた。販売関連指標では、2017年12月時点で、全10項目中、改善が6項目に対し悪化が4項目となり、改善の側が優勢となっていた。だが、2018年1月時点では、判明している9項目中、改善が4項目に対し悪化が5項目となっており、わずかながらも悪化の側が優勢となっている。前月12月とは異なり、支出水準関連指標は改善の方向に転じたものの、販売関連指標は悪化の方向に転じており、両指標間で方向感が定まってはいない。

 公表された2018年1月以降の各種経済指標から、消費を取り巻く状況を整理すると、消費支出は、2018年1月現在、名目と実質の双方でプラスとなっている。10大費目別にみると、名目と実質ともに、前月12月と同様、プラスの費目数がマイナスの費目数を大きく上回っている。10大費目別では、前月と同様、改善の側が優勢の傾向は保たれている。消費者物価指数は2018年1月に、総合と財の指数の伸び率の値は前月12月よりも更に上昇するとともに、サービスの伸び率の値もわずかながら上昇をみせている。生鮮食品やエネルギーを中心とした値上がりの動きは年明け後もなお続いてはいるが、消費への悪影響は軽微なものに止まっているようだ。販売現場での動きをみると、2018年1月現在、商業販売や外食などの日常生活財では、一部の業態を除き、伸びはプラスを保っている。耐久財のうち、新設住宅着工戸数では、全体ではマイナス幅が拡大しており、カテゴリー別でみても伸びは概ねマイナスに落ち込むとともに、一部のカテゴリーではマイナス幅も拡大している。新車販売では、軽乗用車の伸びはプラスを保っているが、乗用車(普通+小型)の伸びはマイナスが続いている。他方で、家電製品出荷では、黒物家電と白物家電ともに、伸び率の値は概ね上昇している。黒物家電の一部では伸びはプラスに復帰するとともに、伸びがマイナスの項目でもプラス転換まであともう一歩のところまで来ている。耐久財では、カテゴリー間での好不調の格差が広がりつつあるようだ。雇用環境では、完全失業率は低下傾向にあり、有効求人倍率も歴史的な高水準で上昇傾向を保っている。収入環境については、現金給与総額、所定内給与、超過給与額の全てで、2017年8月以降はほぼプラスを保ち続けている。ただし、消費マインドに関しては、2018年2月現在、景気ウォッチャー現状判断DIと消費者態度指数の双方で悪化の動きがみられる。

 経済全般の状況に着目すると、輸出は、息長く改善の動きが続いている。他方で、生産は、2018年1月時点で大幅な落ち込みを見せている。マーケットの動向をみると、株価は2月に入ってからも下落が続いていたが、2月の半ばに一旦底打ちして以降、3月上旬にかけて乱高下が続いている。為替は1月に入って以降、若干の上下動を伴いつつも円高トレンドが続いているが、3月に入り一旦落ち着きをみせている。長期金利は、2月に入って以降、緩やかな低下傾向にある。

 総合すると、消費は引き続き堅調な推移をみせてはいる。ただ、耐久財で好不調の格差が広がりつつあるのは、若干気がかりな点だ。消費マインドの悪化や、生産の一時的なスランプ、更に株価の乱高下など、消費を取り巻く諸条件の一部で悪材料が出始めていることも、今後の消費を占う上で注意を要するところではある。この先、耐久財での不調がごく一部のカテゴリーに止まり、消費マインドの悪化にも早期に歯止めがかかれば、消費の回復基調も引き続き保たれることとなるだろう。


図表を含めた完全版はこちら
【完全版を読む】(有料会員向け公開)

※会員のご登録はこちらをご覧ください。

参照コンテンツ


おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツ プレミアム会員サービス 戦略ケースの教科書Online


新着記事

2024.11.20

24年9月の「旅行業者取扱高」は19年比で75%に

2024.11.19

24年10月の「景気の先行き判断」は2ヶ月連続の50ポイント割れに

2024.11.19

24年10月の「景気の現状判断」は8ヶ月連続で50ポイント割れに

2024.11.18

企業活動分析 アルファベット(グーグル)の23年12月期は、グーグルサービスがけん引し売上過去最高を更新

2024.11.18

企業活動分析 アマゾンの23年12月期はAWSがけん引し営業利益前年比3倍へ

2024.11.15

24年9月の「現金給与総額」は33ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2024.11.14

24年9月の「消費支出」は5ヶ月連続のマイナスに

2024.11.14

24年9月の「家計収入」は5ヶ月ぶりのマイナス

2024.11.13

24年9月は「完全失業率」、「有効求人倍率」とも改善

2024.11.12

企業活動分析 ローソンの23年2月期は、「地域密着×個客・個店主義」徹底し増収増益

2024.11.12

企業活動分析 セブン&アイHDの24年2月期は海外事業の影響で減収も過去最高益を更新

2024.11.11

24年10月の「乗用車販売台数」は2ヶ月連続のプラス

2024.11.08

消費者調査データ No.416 レトルトカレー(2024年11月版) 首位「咖喱屋カレー」、3ヶ月内購入はダブルスコア

2024.11.07

企業活動分析 楽天グループの23年12月期は27期連続増収も、モバイルへの投資で4期連続の赤字

2024.11.07

24年9月の「新設住宅着工戸数」は5ヶ月連続のマイナス

2024.11.06

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 伸長するパン市場  背景にある簡便化志向や節約志向

2024.11.05

企業活動分析 ファンケルの24年3月期算は国内売上がけん引し、3期ぶりの増収増益へ

2024.11.05

企業活動分析 コーセーの23年12月期は、国内好調も中国事業低迷で増収減益に

2024.11.01

成長市場を探せ コロナ禍の落ち込みから再成長する惣菜食市場(2024年)

2024.10.31

月例消費レポート 2024年10月号 消費は緩やかな改善が続いている-政治が消費回復のリスクに

2024.10.31

消費からみた景気指標 24年8月は6項目が改善

週間アクセスランキング

1位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

2位 2017.09.19

MNEXT 眼のつけどころ なぜ日本の若者はインスタに走り、世界の若者はタトゥーを入れるのか?

3位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

4位 2024.02.02

成長市場を探せ コロナ禍乗り越え再び拡大するチョコレート市場(2024年)

5位 2021.05.25

MNEXT 眼のつけどころ プロ・マーケティングの組み立て方 都心高級ホテル競争 「アマン」VS.「リッツ」(1)

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area