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JMR消費INDEXは、過去最低水準近傍での低迷が続いている。直近では再び、過去最低水準となっている(図表1)。
INDEXを構成する個々の変数の動きは、2020年5月時点で、食料品売上を除きすべて悪化している。特に、旅行業者取扱額の前年同月比伸び率の値は、過去最低水準を更新している(図表2)。
消費を取り巻く状況を整理する。消費支出の伸びは2020年5月時点で、名目と実質ともに、マイナス幅は前月4月よりも更に広がっている(図表4)。2001年1月以降で過去最低水準となっている。
2020年5月の10大費目別では家具・家事用品を除く9費目で、名目と実質の双方がマイナスとなっている。マイナスの費目数も、前月4月よりも増えている(図表5)。
2020年5月時点での平均消費性向は73.3%であり、2019年5月の水準(98.3%)よりも低下している。平均消費性向は2019年10月以降、8か月連続で低下している(図表2)。
販売現場での動きでは、日常財のうち小売業全体の売上の伸びは2020年3月以降、3か月連続でマイナスとなっている。
主要な業態別では、スーパーは引き続きプラスを保っている。他方、百貨店とコンビニエンスストアはマイナスが続いている(図表9)。
外食全体の売上の伸びは2020年5月も、大幅なマイナスとなっている。ファーストフード、ファミリーレストラン、パブ・居酒屋の全ての業態別で、マイナスが続いている。特に、パブ・居酒屋では、過去最低水準を更新している(図表13)。
耐久財のうち、新設住宅着工戸数の全体の伸びはマイナスが続いている。カテゴリー別では、2020年5月は、持家、分譲住宅・マンション、分譲住宅・一戸建てのすべてで、マイナスとなっている(図表12)。
家電製品出荷の伸びは、2020年5月時点で、黒物家電はカテゴリー間で好不調分かれており、白物家電はマイナスが続いていた(図表11)。
2020年7月21日に電子情報技術産業協会(JEITA)から公表された、2020年6月時点での黒物家電の伸びは、薄型テレビでプラスとなっているが、BDレコーダ/プレーヤではマイナスとなっている。他方、同日に日本電機工業会(JEMA)から公表された、2020年6月時点での白物家電の伸びは、プラスに転じている。黒物家電と白物家電との間で好不調が分かれているが、前月とは異なり白物家電は好転している。
新車販売の伸びも、乗用車(普通+小型)と軽乗用車ともに、マイナスが続いているが、伸び率の値は前月5月に比べて大きく上昇している(図表10)。
雇用環境は、完全失業率と有効求人倍率ともに、悪化の動きが加速している(図表6)。
収入環境について、2020年5月時点では、所定内給与額の伸びは横ばいとなり、現金給与総額の伸びは2か月連続のマイナス、超過給与の伸びは9か月連続のマイナスとなった。伸び率の値は、現金給与総額、所定内給与額、超過給与のいずれも、2020年1月をピークに低下が続いている(図表7)。
消費マインドについては、2020年6月時点で、消費者態度指数と景気ウォッチャー現状判断DIともに、前月5月に比べ大きく改善している(図表8)。
日常財と耐久財のいずれにおいても、消費は総じてマイナスが続いている。スーパーの販売実績や白物家電の出荷などで伸びはプラスだが、そうした動きは一部にすぎない。伸び率の値が改善しているものも散見されるが、まだマイナスからは抜け出せていない。
消費マインドは大きく改善しているが、雇用環境と収入環境では悪化の動きが加速している。消費を取り巻く環境条件も、厳しいままだ。
2020年7月22日に内閣府より公表された2020年7月の月例経済報告では、景気の基調判断は2か月連続で上方修正された。ただし、先行きについては、「感染症が内外経済に与える影響」や「令和2年7月豪雨等の経済に与える影響」などをリスク要因として挙げ、警戒姿勢を示している。
実際、コロナウイルス感染再拡大の動きは、1都3県にとどまらず全国へと広がりをみせている。新規感染者数も、各地で過去最高値を更新している。
これらの懸念材料は、GoToキャンペーンを始めとする、自粛要請全面解除後の景気回復のシナリオを大きく狂わせる可能性がある。また、足許で大きく改善した消費マインドの回復にも冷や水を浴びせるものとなりかねない。
景気や消費の低迷が長引けば、回復のシナリオの練り直しを迫られることとなるだろう。
特集:コロナ禍の消費を読む
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参照コンテンツ
- 消費から見た景気指標
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コロナ禍で強まる「外からウチへ」の消費者行動変容と消費の「イエナカ・シフト」 - 「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 第121号
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