半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2021年04月23日

月例消費レポート 2021年4月号
消費は引き続き足踏み状態にあるが、一部で持ち直しの動きも続いている
主任研究員 菅野 守

※図表の閲覧には会員ログインが必要です。

消費は前月に引き続き足踏み状態にある。
日常財では低迷が続く一方で、耐久財の一部で持ち直しの動きも続いている。
新車販売は伸びを回復し、家電はプラスを保ち続けている。
消費を取り巻く状況も持ち直しの動きが続いている。収入環境は回復傾向にあり、消費マインドも改善している。

 JMR消費INDEXは50を下回る水準で、横ばいで推移している。近似曲線は、2020年9月頃を境に上昇トレンドに転じている(図表1)。

 INDEXを構成する個々の変数の動きをみると、消費支出と平均消費性向は2020年12月以降、3か月連続で悪化となっている。預貯金は4ヶ月連続で伸びがマイナスであり、貯蓄の取り崩しが続いている。販売関連10指標(チェーンストア売上高除く)は、悪化の側が若干優勢の状況が続いている(図表2)。2020年12月以降、改善が続いているのは食料品売上、新車販売台数、家具・インテリア売上、家電製品売上の4つ指標である。この改善4指標と悪化6指標の中身は固定している。

 消費支出の伸びは、2020年12月以降3ヶ月連続で、名目と実質ともにマイナスが続いており、伸び率の値も低下し続けている(図表4)。

 10大費目別では、前月に続き、いずれもマイナスの側が優勢となっている(図表5)。2021年2月は名目増減率と実質増減率ともに、10費目中8費目がマイナスだった。

 販売現場では、日常財のうち、小売業全体の売上は2020年12月以降、3ヶ月連続でマイナスが続いている。家電大型専門店は10月以降プラスを保っている。一方で、スーパー、ホームセンター、ドラッグストアは2021年2月にマイナスに転じ、コンビニエンスストアと百貨店はマイナスが続いている(図表9図表10)。

 耐久財のうち、新車販売の伸びは、軽乗用車はプラスを保ち、乗用車(普通+小型)は直近でプラスへ戻している。伸び率の値はいずれも、上昇に転じている(図表11)。

 家電製品出荷は、AV機器ではBDレコーダを除き、白物家電と情報通信機器ではいずれの製品も、プラスを保っている(図表12図表13図表14)。

 新設住宅着工戸数は、全体ではマイナスが続いている。利用関係区分別にみると、持家では2020年11月以降プラスが続いているが、伸び率の値は直近で低下している。分譲住宅・一戸建てはマイナスだが、伸び率の値は上昇を続けている。分譲住宅・マンションでは2021年1月に再びマイナスへ大きく落ち込んでいる(図表15)。

 三大都市圏別に伸びの推移をみると、持家では、首都圏、近畿圏、中部圏、その他の全てで伸びはプラスを保っている。マンションでは、首都圏、近畿圏で伸びはマイナスであり、特に首都圏での伸びの落ち込みが目立つ(図表16図表17)。

 雇用環境では、一旦足踏み状態となっている。2021年2月時点で、完全失業率で横ばいとなっており、有効求人倍率は低下している(図表6)。

 収入環境では、所定内給与額は2021年1月以降プラスを保っており、伸び率の値も上昇を続けている。マイナスが続いている現金給与総額は、伸び率の値は足許で上昇を続けている。他方で、超過給与はマイナスが続いており、伸び率の値も直近で低下している(図表7)。

 消費マインドについては、消費者態度指数と景気ウォッチャー現状判断DIともに、2021年2月以降、上昇を続けている(図表8)。

 総合すると、消費は前月に引き続き足踏み状態にあるが、耐久財を中心に、持ち直しの動きも続いている

 日常財では2020年12月以降、マイナスが続いている。これまでプラスを保っていたスーパー、ホームセンター、ドラッグストアも、マイナスに転じている。

 耐久財では、新設住宅着工は足許で落ち込みがみられるが、新車販売は伸びを回復し、家電製品出荷はプラスを保ち続けている。

 雇用環境は一旦足踏み状態となっているが、収入環境は回復傾向にある。消費マインドも改善が続いている。消費を取り巻く状況も持ち直しの動きが続いている。

 4月5日から宮城県、大阪府、兵庫県の3府県で始まった蔓延防止等重点措置は、4月12日からは東京都、京都府、沖縄県の3都府県へ、4月20日からは埼玉県、千葉県、神奈川県、愛知県の4県へと、適用範囲が徐々に拡大されている。いずれの地域でも、適用期間は、短くてもGW一杯までとなっている。

 蔓延防止等重点措置が適用された地域をはじめとして、日本各地でコロナウイルス新規陽性者数は再度増加している。今後、旅行やレジャー、外食などへの需要にも、再び足かせがかかることとなりそうだ。

 厚生労働省からは5月以降、「雇用調整助成金」特例措置と「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金(休業支援金)」を減額する方針が打ち出されている。一部報道では、7月以降には、これらは更に減額される可能性が高いといわれている。

 こうしたセーフティーネットがあったからこそ、雇用・収入環境はこれまで、深刻な悪化に見舞われずに済んできた。だがこの先、サービス業を中心に、厳しい経営状況が続いたまま、雇用への支えが弱まっていくこととなれば、雇用・収入環境も再び悪化に転じることが懸念される。


図表を含めた完全版を読む

完全版を読むには無料の会員登録が必要です。

参照コンテンツ


おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツプレミアム会員サービス戦略ケースの教科書Online


お知らせ

2024.12.19

JMR生活総合研究所 年末年始の営業のお知らせ

新着記事

2024.12.20

消費者調査データ No.418 サブスクリプションサービス 広く利用される「プライムビデオ」、音楽サブスクには固定ファンも

2024.12.19

24年10月の「商業動態統計調査」は7ヶ月連続のプラス

2024.12.19

24年10月の「広告売上高」は、6ヶ月連続のプラス

2024.12.19

24年10月の「旅行業者取扱高」は19年比で83%に

2024.12.18

提言論文 「価値スタイル」で選ばれるブランド・チャネル・メディア

2024.12.18

24年11月の「景気の先行き判断」は3ヶ月連続の50ポイント割れに

2024.12.18

24年11月の「景気の現状判断」は9ヶ月連続で50ポイント割れに

2024.12.17

24年10月の「現金給与総額」は34ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2024.12.16

企業活動分析 SGHDの24年3月期はロジスティクス事業不振で2期連続の減収減益

2024.12.16

企業活動分析 ヤマトHDの24年3月期はコスト削減追いつかず3期連続減益

2024.12.13

成長市場を探せ コロナ禍の壊滅的状況からV字回復、売上過去最高のテーマパーク(2024年)

2024.12.12

24年10月の「家計収入」は再びプラスに

2024.12.12

24年10月の「消費支出」は6ヶ月連続のマイナスに

2024.12.11

提言論文 価値スタイルによる生活の再編と収斂

2024.12.10

24年10月は「有効求人倍率」は改善、「完全失業率」は悪化

2024.12.09

企業活動分析 江崎グリコ株式会社 23年12月期は国内外での売上増などで増収増益達成

2024.12.09

企業活動分析 日清食品ホールディングス株式会社 24年3月期は価格改定浸透で増収、過去最高益達成

 

2024.12.06

消費者調査 2024年 印象に残ったもの 「大谷選手」「50-50」、選挙も五輪も超えてホームラン!

2024.12.05

24年11月の「乗用車販売台数」は3ヶ月ぶりのマイナス

週間アクセスランキング

1位 2024.05.10

消費者調査データ エナジードリンク(2024年5月版)首位は「モンエナ」、2位争いは三つ巴、再購入意向上位にPBがランクイン

2位 2024.04.05

消費者調査データ ノンアルコール飲料(2024年4月版) 首位は「ドライゼロ」、追う「オールフリー」「のんある気分」

3位 2024.12.04

提言論文 本格消費回復への転換-価値集団の影響力拡大

4位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

5位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area