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消費は前月に引き続き足踏み状態にある。
日常財では低迷が続く一方で、耐久財の一部で持ち直しの動きも続いている。
新車販売は伸びを回復し、家電はプラスを保ち続けている。
消費を取り巻く状況も持ち直しの動きが続いている。収入環境は回復傾向にあり、消費マインドも改善している。
JMR消費INDEXは50を下回る水準で、横ばいで推移している。近似曲線は、2020年9月頃を境に上昇トレンドに転じている(図表1)。
INDEXを構成する個々の変数の動きをみると、消費支出と平均消費性向は2020年12月以降、3か月連続で悪化となっている。預貯金は4ヶ月連続で伸びがマイナスであり、貯蓄の取り崩しが続いている。販売関連10指標(チェーンストア売上高除く)は、悪化の側が若干優勢の状況が続いている(図表2)。2020年12月以降、改善が続いているのは食料品売上、新車販売台数、家具・インテリア売上、家電製品売上の4つ指標である。この改善4指標と悪化6指標の中身は固定している。
消費支出の伸びは、2020年12月以降3ヶ月連続で、名目と実質ともにマイナスが続いており、伸び率の値も低下し続けている(図表4)。
10大費目別では、前月に続き、いずれもマイナスの側が優勢となっている(図表5)。2021年2月は名目増減率と実質増減率ともに、10費目中8費目がマイナスだった。
販売現場では、日常財のうち、小売業全体の売上は2020年12月以降、3ヶ月連続でマイナスが続いている。家電大型専門店は10月以降プラスを保っている。一方で、スーパー、ホームセンター、ドラッグストアは2021年2月にマイナスに転じ、コンビニエンスストアと百貨店はマイナスが続いている(図表9、図表10)。
耐久財のうち、新車販売の伸びは、軽乗用車はプラスを保ち、乗用車(普通+小型)は直近でプラスへ戻している。伸び率の値はいずれも、上昇に転じている(図表11)。
家電製品出荷は、AV機器ではBDレコーダを除き、白物家電と情報通信機器ではいずれの製品も、プラスを保っている(図表12、図表13、図表14)。
新設住宅着工戸数は、全体ではマイナスが続いている。利用関係区分別にみると、持家では2020年11月以降プラスが続いているが、伸び率の値は直近で低下している。分譲住宅・一戸建てはマイナスだが、伸び率の値は上昇を続けている。分譲住宅・マンションでは2021年1月に再びマイナスへ大きく落ち込んでいる(図表15)。
三大都市圏別に伸びの推移をみると、持家では、首都圏、近畿圏、中部圏、その他の全てで伸びはプラスを保っている。マンションでは、首都圏、近畿圏で伸びはマイナスであり、特に首都圏での伸びの落ち込みが目立つ(図表16、図表17)。
雇用環境では、一旦足踏み状態となっている。2021年2月時点で、完全失業率で横ばいとなっており、有効求人倍率は低下している(図表6)。
収入環境では、所定内給与額は2021年1月以降プラスを保っており、伸び率の値も上昇を続けている。マイナスが続いている現金給与総額は、伸び率の値は足許で上昇を続けている。他方で、超過給与はマイナスが続いており、伸び率の値も直近で低下している(図表7)。
消費マインドについては、消費者態度指数と景気ウォッチャー現状判断DIともに、2021年2月以降、上昇を続けている(図表8)。
総合すると、消費は前月に引き続き足踏み状態にあるが、耐久財を中心に、持ち直しの動きも続いている
日常財では2020年12月以降、マイナスが続いている。これまでプラスを保っていたスーパー、ホームセンター、ドラッグストアも、マイナスに転じている。
耐久財では、新設住宅着工は足許で落ち込みがみられるが、新車販売は伸びを回復し、家電製品出荷はプラスを保ち続けている。
雇用環境は一旦足踏み状態となっているが、収入環境は回復傾向にある。消費マインドも改善が続いている。消費を取り巻く状況も持ち直しの動きが続いている。
4月5日から宮城県、大阪府、兵庫県の3府県で始まった蔓延防止等重点措置は、4月12日からは東京都、京都府、沖縄県の3都府県へ、4月20日からは埼玉県、千葉県、神奈川県、愛知県の4県へと、適用範囲が徐々に拡大されている。いずれの地域でも、適用期間は、短くてもGW一杯までとなっている。
蔓延防止等重点措置が適用された地域をはじめとして、日本各地でコロナウイルス新規陽性者数は再度増加している。今後、旅行やレジャー、外食などへの需要にも、再び足かせがかかることとなりそうだ。
厚生労働省からは5月以降、「雇用調整助成金」特例措置と「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金(休業支援金)」を減額する方針が打ち出されている。一部報道では、7月以降には、これらは更に減額される可能性が高いといわれている。
こうしたセーフティーネットがあったからこそ、雇用・収入環境はこれまで、深刻な悪化に見舞われずに済んできた。だがこの先、サービス業を中心に、厳しい経営状況が続いたまま、雇用への支えが弱まっていくこととなれば、雇用・収入環境も再び悪化に転じることが懸念される。
参照コンテンツ
- MNEXT 眼のつけどころ 市場脱皮期の富裕層開拓マーケティング―価格差別化戦略(2021年)
- オリジナルレポート コロナ下とコロナ後の消費の展望(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ コロナ禍の訪問営業は時代遅れなのか?―「会うのが、いちばん。」(2021年)
- アフターコロナの営業戦略 激変市場に対応した小商圏型営業活動のすすめ(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ 行動経済学ベースのマーケティングのはじめ方(2020年)
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