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消費マインドの悪化にブレーキがかかりつつある中で、日常生活財や外食を中心に、改善の動きが続いている。
他方で、クルマや家電では低迷が続き、新設住宅着工では息切れの兆しが見える。耐久財は依然、消費の足を引っ張っている。
3月下旬に解除されたまん延防止等重点措置の影響は今後の経済指標に出てくるとみられるが、マインド悪化にブレーキがかかっていることから、軽微なもので済むと期待される。
感染再拡大による影響は懸念材料として残るが、マインドの底打ちがはっきりすれば、外食を先行役に消費回復の動きが広がると期待される。
JMR消費INDEXは、2022年1月時点で73.3と、前月よりも上昇している。近似曲線は、上昇トレンドを維持している(図表1)。
INDEXを構成する個々の変数をみると、支出関連3指標のうち消費支出は改善が続き、平均消費性向は6ヶ月ぶりに改善に転じたが、預貯金は悪化が続いている。
販売関連10指標(チェーンストア売上高除く)のうち、改善が7指標、悪化が3指標となり、前月以上に改善の側が優勢となっている(図表2)。
支出関連と販売関連の双方で改善の動きが続いている。
消費支出の伸びは名目と実質ともにプラスとなり、伸び率も上昇が続いている(図表4)。
10大費目別では、2022年1月は、名目では教育を除く9費目がプラス、実質では光熱・水道と教育を除く8費目がプラスとなり、プラスの側が圧倒的に優勢である。プラスの費目数は、名目と実質の双方で、前月2021年12月よりも多い(図表5)。
販売現場では、小売業全体の売上は4ヶ月連続で改善している。チャネル別では、ドラッグストアは9ヶ月連続のプラス、百貨店は4ヶ月連続のプラスとなった。コンビニエンスストアは2ヶ月連続のプラスである。
他方、スーパー、家電大型専門店、ホームセンターは3ヶ月連続でマイナスであるが、伸び率はいずれも前月より上昇している(図表9、図表10)。
外食売上は、全体では2ヶ月連続でプラスとなった。プラス幅も前月より上昇し、二桁台に乗せている。業態別では、2022年1月時点で、ファーストフード、ファミリーレストラン、パブ・居酒屋の全ての業態で、2ヶ月連続のプラスである。伸び率も前月より上昇しており、特に、パブ・居酒屋では154.8%、ファミリーレストランでは120.1%と、極めて高い水準を維持している(図表18)。
これは、コロナ感染第3波〔2020年11月~2021年2月頃〕における落ち込みの反動を反映したものとみられる。2022年の年明け後のオミクロン株の感染拡大の動きを受けて、まん延防止等重点措置が出されたが、当初懸念されていたような外食売上の落ち込みは、2022年1月時点ではまだ現れていない。
新車販売では、乗用車(普通+小型)は6ヶ月連続のマイナス、軽乗用車も9ヶ月連続のマイナスである。特に乗用車(普通+小型)では、伸び率も低下が続いている(図表11)。
家電製品出荷については、白物家電で改善の動きが目立つ一方で、AV機器と情報家電では不振が続いている。
白物家電では、ルームエアコンを除く3品目で、伸びはプラスとなっている。他方、AV機器では3品目全てで前月同様マイナスとなった。情報家電でも、スマートフォンとノートPCともに、4ヶ月連続でマイナスとなっている(図表12、図表13、図表14)。
新設住宅着工戸数は、全体では11ヶ月連続でプラスとなったが、伸び率は前月よりも低下している。
利用関係別では、持家の伸びは2ヶ月連続のマイナスであり、分譲住宅・マンションもマイナスに転じた。分譲住宅・一戸建てはプラスだが、伸び率は前月よりも低下している(図表15)。
三大都市圏別の推移をみると、持家は、首都圏、中部圏、近畿圏、その他の地域の全てでマイナスとなった。これも、2020年10月以来のことである(図表16)。
マンションでは、その他の地域は3ヶ月連続でプラスとなったが、首都圏と中部圏はマイナスに転じ、近畿圏は3ヶ月連続のマイナスである(図表17)。
新設住宅着工戸数はこれまで息長く好調を保ってきたが、最近では、持家に止まらずマンションでも、息切れの兆しが見えつつある。
雇用環境については、有効求人倍率は改善となったが、完全失業率は悪化しており、両者の間で方向感は定まっていない(図表6)。
収入環境については、現金給与総額、所定内給与額、超過給与の全てでプラスとなっており、改善の動きは続いている(図表7)。
消費マインドについては、前月の急激な悪化の動きが一旦やわらいでいる。
景気ウォッチャー現状判断DIは2022年1月時点での大幅な下落から、2022年2月はわずかながらも上昇に転じており、前月の激しい悪化の動きに歯止めがかかった格好だ。
消費者態度指数は3ヶ月連続で低下しているが、マイナス幅は前月よりも縮小している(図表8)。
総合すると、消費マインドの悪化にブレーキがかかりつつある中で、日常生活財や外食を中心に、改善の動きが続いている。
他方で、クルマや家電は引き続き低迷しており、息長く好調を保ってきた新設住宅着工戸数では息切れの兆しが見えつつある。耐久財は依然、消費の足を引っ張っている格好だ。
1月9日より広島県、山口県、沖縄県の3県で始まり一時は36都道府県にまで適用が拡大されたまん延防止等重点措置は、解除となる県を徐々に増やしつつ、最終的には3月21日にすべての都道府県で解除となった。
この影響は、今後1~2ヶ月の経済指標に現れてくるとみられるが、既に2月時点でマインド悪化にブレーキがかかっていることを踏まえると、悪影響も軽微なもので済むと期待される。
収入環境は改善が続いており、購買力にも底堅さがみられる。
オミクロン株B.A.2系統による感染再拡大の可能性が懸念材料として残ってはいるものの、この先マインドの底打ちがよりはっきりしたものとなれば、諸規制がようやく解除された外食を先行役に、消費回復の動きが広がっていくものと期待される。
参照コンテンツ
- MNEXT 眼のつけどころ 凍結した消費マインドを溶解させるマーケティング―解除後の消費増加シナリオ(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ プロ・マーケティングの組み立て方 都心高級ホテル競争 「アマン」VS.「リッツ」(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ 市場脱皮期の富裕層開拓マーケティング―価格差別化戦略(2021年)
- オリジナルレポート コロナ下とコロナ後の消費の展望(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ コロナ禍の訪問営業は時代遅れなのか?―「会うのが、いちばん。」(2021年)
- アフターコロナの営業戦略 激変市場に対応した小商圏型営業活動のすすめ(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ 行動経済学ベースのマーケティングのはじめ方(2020年)
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