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支出全般はわずかにマイナスとなっている。耐久財では低迷が続いているが、日常生活財では改善の動きがみられる。
雇用環境と収入環境は改善が続き、マインドの悪化にも歯止めがかかりつつある。今回のまん延防止等重点措置の悪影響も、比較的軽微に止まったようだ。新規陽性者数も、足許では減少傾向にある。
ただし、値上げの動きは更に広がりつつある。今後幅広い分野へと波及し、物価上昇に歯止めがかからないようだと、家計防衛のための支出切り詰めの動きが強まるおそれもある。
今後の消費回復を阻む要因として、値上げリスクへの警戒がより重要となりそうだ。
JMR消費INDEXは、2022年3月時点で横ばいとなっている。近似曲線は、上昇トレンドを維持している(図表1)。
INDEXを構成する個々の変数をみると、販売関連と支出関連との間で改善と悪化の優劣が分かれている。支出関連3指標は全てが悪化となった。他方、販売関連10指標(チェーンストア売上高除く)は、改善の側が優勢の状況となっている(図表2)。
消費支出は、名目と実質ともに、4ヶ月ぶりにマイナスに転じている(図表4)。
10大費目別では、2022年3月も、名目と実質の双方で、マイナスの側が若干優勢の状況が続いている(図表5)。
販売現場では、小売業全体の売上は2022年3月にプラスに戻した。
チャネル別でもプラスの動きが目立っている。ドラッグストア、コンビニエンスストア、スーパーはプラスが続いている。百貨店と家電大型専門店はプラスに戻した。ただし、ホームセンターはマイナスが続いている(図表9、図表10)。
外食売上は、全体では4ヶ月連続でプラスとなった。
業態別でも、2022年3月はファーストフード、ファミリーレストラン、パブ・居酒屋の全てでプラスとなっている(図表18)。
新車販売では、乗用車(普通+小型)と軽乗用車ともにマイナスが続いている(図表11)。
家電製品出荷については、前月同様、白物家電で改善の動きが続く一方で、AV機器と情報家電では不振が続いている(図表12、図表13、図表14)。
新設住宅着工戸数は、全体では13ヶ月連続でプラスとなった。
利用関係別では、分譲住宅・一戸建てと分譲住宅・マンションでプラスが続く一方、持家ではマイナスが続いている(図表15)。
三大都市圏別の推移をみると、持家は首都圏、中部圏、近畿圏、その他の地域の全てで再びマイナスとなった(図表16)。
マンションは中部圏、近畿圏、その他の地域ではプラスだが、首都圏ではマイナスに転じている(図表17)。
雇用については、有効求人倍率と完全失業率ともに改善が続いている(図表6)。
収入についても、現金給与総額、所定内給与額、超過給与額の全てでプラスが続いている(図表7)。
消費マインドについては、悪化に歯止めがかかりつつある。
景気ウォッチャー現状判断DIは上昇が続いている。消費者態度指数は低下が続いているが、低下幅はわずかなものに止まっている(図表8)。
総合すると、消費は引き続き底堅さを保っている。
消費支出など支出全般はわずかにマイナスとなっている。耐久財では、クルマや家電を中心に低迷が続いている。他方で、日常生活財では、小売販売や外食売上などで、改善の動きがみられる。
雇用環境と収入環境はともに、改善が続いている。マインドの悪化にも、歯止めがかかりつつある。今回のまん延防止等重点措置の悪影響も、比較的軽微に止まったようだ。
新規陽性者数も、足許では減少傾向にある。ゴールデンウィーク後の陽性者数急増の懸念も、杞憂に終わりそうだ。
ただし、大幅な円安や燃料・原材料価格高騰などを引き金とした値上げの動きは、更に広がりつつある。
値上げが今後幅広い分野へと波及していき、物価上昇に歯止めがかからないようだと、家計防衛のための支出切り詰めの動きが強まるおそれもある。
今後の消費回復を阻む要因として、値上げリスクへの警戒がより重要となりそうだ。
参照コンテンツ
- 特集:2022年、値上げをどう乗り切るか
- MNEXT 眼のつけどころ 凍結した消費マインドを溶解させるマーケティング―解除後の消費増加シナリオ(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ プロ・マーケティングの組み立て方 都心高級ホテル競争 「アマン」VS.「リッツ」(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ 市場脱皮期の富裕層開拓マーケティング―価格差別化戦略(2021年)
- オリジナルレポート コロナ下とコロナ後の消費の展望(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ コロナ禍の訪問営業は時代遅れなのか?―「会うのが、いちばん。」(2021年)
- アフターコロナの営業戦略 激変市場に対応した小商圏型営業活動のすすめ(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ 行動経済学ベースのマーケティングのはじめ方(2020年)
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