半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2022年05月26日

月例消費レポート 2022年5月号
消費は引き続き底堅さ保つも、値上げリスクへの警戒がより重要に
主任研究員 菅野 守

※図表の閲覧には会員ログインが必要です。

 支出全般はわずかにマイナスとなっている。耐久財では低迷が続いているが、日常生活財では改善の動きがみられる。
 雇用環境と収入環境は改善が続き、マインドの悪化にも歯止めがかかりつつある。今回のまん延防止等重点措置の悪影響も、比較的軽微に止まったようだ。新規陽性者数も、足許では減少傾向にある。
 ただし、値上げの動きは更に広がりつつある。今後幅広い分野へと波及し、物価上昇に歯止めがかからないようだと、家計防衛のための支出切り詰めの動きが強まるおそれもある。
 今後の消費回復を阻む要因として、値上げリスクへの警戒がより重要となりそうだ。

 JMR消費INDEXは、2022年3月時点で横ばいとなっている。近似曲線は、上昇トレンドを維持している(図表1)。

 INDEXを構成する個々の変数をみると、販売関連と支出関連との間で改善と悪化の優劣が分かれている。支出関連3指標は全てが悪化となった。他方、販売関連10指標(チェーンストア売上高除く)は、改善の側が優勢の状況となっている(図表2)。

 消費支出は、名目と実質ともに、4ヶ月ぶりにマイナスに転じている(図表4)。

 10大費目別では、2022年3月も、名目と実質の双方で、マイナスの側が若干優勢の状況が続いている(図表5)。

 販売現場では、小売業全体の売上は2022年3月にプラスに戻した。

 チャネル別でもプラスの動きが目立っている。ドラッグストア、コンビニエンスストア、スーパーはプラスが続いている。百貨店と家電大型専門店はプラスに戻した。ただし、ホームセンターはマイナスが続いている(図表9図表10)。

 外食売上は、全体では4ヶ月連続でプラスとなった。

 業態別でも、2022年3月はファーストフード、ファミリーレストラン、パブ・居酒屋の全てでプラスとなっている(図表18)。

 新車販売では、乗用車(普通+小型)と軽乗用車ともにマイナスが続いている(図表11)。

 家電製品出荷については、前月同様、白物家電で改善の動きが続く一方で、AV機器と情報家電では不振が続いている(図表12図表13図表14)。

 新設住宅着工戸数は、全体では13ヶ月連続でプラスとなった。

 利用関係別では、分譲住宅・一戸建てと分譲住宅・マンションでプラスが続く一方、持家ではマイナスが続いている(図表15)。

 三大都市圏別の推移をみると、持家は首都圏、中部圏、近畿圏、その他の地域の全てで再びマイナスとなった(図表16)。

 マンションは中部圏、近畿圏、その他の地域ではプラスだが、首都圏ではマイナスに転じている(図表17)。

 雇用については、有効求人倍率と完全失業率ともに改善が続いている(図表6)。

 収入についても、現金給与総額、所定内給与額、超過給与額の全てでプラスが続いている(図表7)。

 消費マインドについては、悪化に歯止めがかかりつつある。

 景気ウォッチャー現状判断DIは上昇が続いている。消費者態度指数は低下が続いているが、低下幅はわずかなものに止まっている(図表8)。

 総合すると、消費は引き続き底堅さを保っている。

 消費支出など支出全般はわずかにマイナスとなっている。耐久財では、クルマや家電を中心に低迷が続いている。他方で、日常生活財では、小売販売や外食売上などで、改善の動きがみられる。

 雇用環境と収入環境はともに、改善が続いている。マインドの悪化にも、歯止めがかかりつつある。今回のまん延防止等重点措置の悪影響も、比較的軽微に止まったようだ。

 新規陽性者数も、足許では減少傾向にある。ゴールデンウィーク後の陽性者数急増の懸念も、杞憂に終わりそうだ。

 ただし、大幅な円安や燃料・原材料価格高騰などを引き金とした値上げの動きは、更に広がりつつある。

 値上げが今後幅広い分野へと波及していき、物価上昇に歯止めがかからないようだと、家計防衛のための支出切り詰めの動きが強まるおそれもある。

 今後の消費回復を阻む要因として、値上げリスクへの警戒がより重要となりそうだ。


図表を含めた完全版を読む

完全版を読むには無料の会員登録が必要です。

参照コンテンツ


おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツプレミアム会員サービス戦略ケースの教科書Online


お知らせ

2024.12.19

JMR生活総合研究所 年末年始の営業のお知らせ

新着記事

2024.12.20

消費者調査データ No.418 サブスクリプションサービス 広く利用される「プライムビデオ」、音楽サブスクには固定ファンも

2024.12.19

24年10月の「商業動態統計調査」は7ヶ月連続のプラス

2024.12.19

24年10月の「広告売上高」は、6ヶ月連続のプラス

2024.12.19

24年10月の「旅行業者取扱高」は19年比で83%に

2024.12.18

提言論文 「価値スタイル」で選ばれるブランド・チャネル・メディア

2024.12.18

24年11月の「景気の先行き判断」は3ヶ月連続の50ポイント割れに

2024.12.18

24年11月の「景気の現状判断」は9ヶ月連続で50ポイント割れに

2024.12.17

24年10月の「現金給与総額」は34ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2024.12.16

企業活動分析 SGHDの24年3月期はロジスティクス事業不振で2期連続の減収減益

2024.12.16

企業活動分析 ヤマトHDの24年3月期はコスト削減追いつかず3期連続減益

2024.12.13

成長市場を探せ コロナ禍の壊滅的状況からV字回復、売上過去最高のテーマパーク(2024年)

2024.12.12

24年10月の「家計収入」は再びプラスに

2024.12.12

24年10月の「消費支出」は6ヶ月連続のマイナスに

2024.12.11

提言論文 価値スタイルによる生活の再編と収斂

2024.12.10

24年10月は「有効求人倍率」は改善、「完全失業率」は悪化

2024.12.09

企業活動分析 江崎グリコ株式会社 23年12月期は国内外での売上増などで増収増益達成

2024.12.09

企業活動分析 日清食品ホールディングス株式会社 24年3月期は価格改定浸透で増収、過去最高益達成

 

2024.12.06

消費者調査 2024年 印象に残ったもの 「大谷選手」「50-50」、選挙も五輪も超えてホームラン!

2024.12.05

24年11月の「乗用車販売台数」は3ヶ月ぶりのマイナス

週間アクセスランキング

1位 2024.05.10

消費者調査データ エナジードリンク(2024年5月版)首位は「モンエナ」、2位争いは三つ巴、再購入意向上位にPBがランクイン

2位 2024.04.05

消費者調査データ ノンアルコール飲料(2024年4月版) 首位は「ドライゼロ」、追う「オールフリー」「のんある気分」

3位 2024.12.04

提言論文 本格消費回復への転換-価値集団の影響力拡大

4位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

5位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area